【第7回】 在宅生活を強く望むUさん ~定期利用へと~
二回目の利用希望は、約1ヶ月後に訪れました。初回と同様にお迎えは私が同乗していきました。Uさんはやはり準備ができておらず、着替えをするところから始まりました。ご本人の中で全てがリセットされていることを覚悟の上で迎えに行ったのですが、意外にも私の顔を覚えていてくれたようでした。「おはようございます。」とご挨拶をした私に、「あら、あなた。どうもね。」と微笑んでくれたのです。 Uさんは会ったことのある人の顔はなんとなく見覚えがあるようで、前回利用のときに関わった介護職員数人のことも認識していました。そして、施設 ...
【第6回】 在宅生活を強く望むUさん ~宿泊成功~
「本当にあの子がそんなことを?」Uさんは驚いたようにそう聞き返してきました。嘘ではありませんでしたが、これをUさんにお伝えするのは賭けでした。 今後の二人の関係に影響を与えてしまう可能性があるため、伝え方に十分注意しなければならないと思いながら切り出したことでした。 「そうだったの…。知らないうちにあの子にも無理させてたのね。気付いてやれなくて悪いことしたね。」と、Uさんは項垂れました。 「でも、Nさんは本当にUさんのことを大切に思っているんだと思いますよ。だから、少しだけ休めればまたこれからも変わら ...
【第5回】 在宅生活を強く望むUさん ~帰宅願望~
どうにかこうにか誤魔化しつつ、施設まで来ることができました。 お迎えのときに同席してくれたケアマネKさんから、「なんか無料でご飯が出てゆっくり過ごせる場所があるみたい。気になるからUさんちょっと様子見てきてよ!そこにお薬の相談をしたい人もいるみたいだし。」と言われたこともUさんの背中を押したようでした。 そして、日中の時間はいろいろなお話をしながら穏やかに過ごすことができました。他利用者とトラブルになってしまうことをKさんは懸念していましたが、初めての場所にUさんもやや構えていたのか、そのようなことはあり ...
【第4回】 在宅生活を強く望むUさん ~初回の利用~
面接を無事に終え、私は施設職員へ丁寧に情報提供をしました。特に、日常的に関わる介護職員へはUさんの性格傾向や気質、関わり方のポイントなどを重点的に伝えました。 帰宅願望というものは、認知症のお年寄りにはよくあるものです。誰でも自分の家が一番落ち着く居心地の良い場所なのです。認知症のない方はショートステイに宿泊することを理解して来ているので帰宅願望が出る方は少ないですが、認知症のある方はそもそも何故自分がこんな場所で夜を明かさなければならないのかが理解できないのです。そのため、帰りたいという気 ...
【第3回】在宅生活を強く望むUさん ~面接にて~
「初めまして、私鈴木と申します。本日は貴重なお時間をいただいて申し訳ありません。」そうご挨拶をすると、Uさんはゆっくりこちらを向いてにこりと笑いました。部屋の臭いとはアンバランスに、身なりもきちんとしており上品な女性という印象でした。 「あなたも若いのに大変ですね。このへんのお宅を順番に周っているわけでしょう?お年寄り多いですからねぇ。私はまだお年寄りなんて呼ばれる年齢じゃないからお話できることなんてないと思うけど…どんなことを聞きにいらしたんですか?」とUさんは返してくれました。 &nb ...
【第2回】 在宅生活を強く望むUさん ~息子さんの精神安定のためにもショートステイを~
Kさんの話を聞き、正直受け入れるのは難しいと思いました。どこの施設でもあまり変わらないと思いますが、夜間帯は限られた人数の職員しか配置していません。全く眠らずに外に出て行ってしまうかもしれない利用者が1人いれば、その方に付きっきりにならざるを得ません。そうなれば、他の利用者へ目が行き届かなくなり、事故が起きる可能性が高まります。 しかし、Uさんと息子さんのことを考えればKさんの言うように少し距離をとってあげた方が良いとも思いました。息子さんは精神的に不安定な日が続いており、最近ではUさんに暴 ...
【オススメ度★★★】社会福祉のあゆみ 社会福祉思想の軌跡
この参考書の特徴 イギリス、国内の社会福祉の歴史をまとめた一冊です。なぜ制度が出来上がったのか歴史を追いつつ解説しているため、スッキリ頭に入ります。 ここがイイネ 社会福祉士の試験では〇〇年~~法が制定された。その内容は△△であったといった問題が出題されることがあります。 制度をまとめた年表などを作る方がいらっしゃると思いますが、それはとても覚えにくいと思います。 なぜなら、歴史と関連付けていないからであり、単品で1874年は恤救規則、1929年は救護法だなと覚えようとすると効率が悪いです。 ...
【試験対策】旧生活保護法(きゅうせいかつほごほう)
「社会福祉士」に関するオススメ本 社会福祉士に興味がある方に読んでもらいたい1冊です。本HPで連載していた事例を紹介しています。施設相談員がメインの事例となっており、介護福祉士と何が違うのか、どんなことをするのかよくわかると思います。小説風に書かれているので読みやすいかと思います。 ・【実務未経験者必見】社会福祉士の仕事ってこんな感じなんです。総集編(1~3巻分) ・【実務未経験者必見】社会福祉士の仕事ってこんな感じなんです。総集編(4~6巻分) 1946年 旧生活保護法 この制度のポイント ・近代的な社 ...
【第1回】 在宅生活を強く望むUさん ~困難ケース~
Uさんと初めて出会ったのは、私がショートステイの相談員として勤めている頃でした。ある日、以前からお付き合いのあったケアマネKさんから連絡が入ったのです。Kさんはやり手のケアマネで、その腕を買われてか困難ケースを数多く抱えている方でした。そして、Uさんもそんな困難ケースのうちの1人でした。 「ちょっと相談があるんだけど、ショート利用させてあげたい人がいるのよね。でも難しい人でさ…」と、Kさんは切り出し、Uさんについて詳しく教えてくれました。 77歳、女性。中等度~やや重度の認知症あり。現在自宅にて息子N ...
【試験対策】救護法(きゅうごほう)
「社会福祉士」に関するオススメ本 社会福祉士に興味がある方に読んでもらいたい1冊です。本HPで連載していた事例を紹介しています。施設相談員がメインの事例となっており、介護福祉士と何が違うのか、どんなことをするのかよくわかると思います。小説風に書かれているので読みやすいかと思います。 ・【実務未経験者必見】社会福祉士の仕事ってこんな感じなんです。総集編(1~3巻分) ・【実務未経験者必見】社会福祉士の仕事ってこんな感じなんです。総集編(4~6巻分) 1929年 救護法 この制度のポイント ・救護法は、恤救規 ...



