第30回社会福祉士国家資格合格発表を考察する
2022年2月6日(日)に行われた社会福祉士国家資格の試験に関する記事はこちら 第34回社会福祉士国家資格の合格ライン・ボーダーを予想する 平成30年3月15日に第30回の社会福祉士国家資格の合格発表が行われました。 今回は、試験終了後から簡単だったという声を多く聞いておりました。 そのため、ボーダーが高くなるのではないかと不安に思っていた 方も多くいたかと思います。 その予感は的中です。 結果は、99点以上が合格ラインでした。 正直驚きでした。 下のグラフを見ていただければわ ...
【小説風事例紹介】脳出血により生活が変わってしまったAさん
1.大きな環境の変化 今勤めている施設で、脳出血により施設入所となった男性Aさんに出会いました。Aさんは、友人とホテルにいた際に脳出血を発症し朝まで気づかれることなく、ホテル従業員が倒れているところを発見し、救急搬送されたそうです。 搬送後緊急手術となり一命をとりとめましたが、身元が不明だったため経済的な問題や今後の治療などのため、緊急保護申請を行い、生活保護を利用し、治療を受けることができました。 その後、身元がわかり家族へ連絡すると家族からは「死んだ時以外連絡してくるな!」の一点張りで、電話を ...
【第7回】糖尿病のSさんと、好きなものを食べてほしい家族 ~Sさん家族の決断~
「今の私の立場からこんな話をするのはおかしいのかもしれませんが、幸せの形は人それぞれだということです。私たち家族は今お話した選択で後悔していないですが、同じ道を選んだら後悔が残る家族もいるでしょう。Sさんとは状況も病気も違いますしね。私が言いたいことは、決めるのはご本人とご家族だということです。」 カンファレンスを終え、それから数日は何事もなく平和に時間が過ぎました。そして、ある日奥様が面会の帰りに私のところへ来てこう言いました。 「あのあと、娘たちと話し合いました。それでね、 ...
【第6回】糖尿病のSさんと、好きなものを食べてほしい家族 ~決めるのは病院や施設ではない~
看護師が優しい口調で説明しました。「気休めを言っても仕方ないので、医療の観点から率直にお話させていただきますと、チョコレートやクッキーなどはカロリーの高いものです。たとえごく少量だとしてもそれが日常的に積み重なれば、やはり影響がないとは到底言えません。現在でもSさんの糖尿病はかなり重度の方です。命に関わると言わざるを得ません。その上でご家族としての接し方や今後のことを考えていただければと思っております。」 奥様は、目を見開いて何も言いませんでした。どうしたら良いのかわからないといった様子でし ...
【第5回】糖尿病のSさんと、好きなものを食べてほしい家族 ~二度目のカンファレンス~
数日後、奥様と長女様をお呼びして再度カンファレンスを行うことになりました。 「先日も長女様にはお話しさせていただいたことではありますが、現在Sさんは血糖コントロールのため、食事制限をしています。はっきり申し上げて、状態はあまり良くありません。今後も引き続きカロリー制限が必要となってきます。」 奥様はこちらの話を穏やかな表情で聞いていました。私は事前にiPadで撮影しておいたSさんの足の写真をお見せしました。 「先日長女様とお会いした後に発見したものです。現在、この ...
【第4回】糖尿病のSさんと、好きなものを食べてほしい家族 ~この症状は何か?~
看護師の言うことは、もちろんよくわかりました。医療職の人間であれば確かに見過ごすことはできないのかもしれません。しかし、私は介護上がりの人間です。介護は「生活」を支えることです。 「もちろん、リスクについては今回の説明だけでなく繰り返しお話ししていきます。奥様にも必要であれば直接お話しします。その上で、ご家族様が『このようにお菓子をあげてはいけない』と思って止めるのであれば問題はないですが、『施設にダメと言われたから止めた』のであれば、意味がありません。いろいろな考え方があるし、幸せの形は人 ...
【第3回】糖尿病のSさんと、好きなものを食べてほしい家族 ~カンファレンス~
カンファレンスには、私と看護師、介護士、そして長女様が出席しました。まず、相談員である私から、奥様がSさんに日常的にお菓子をあげているようだということをご報告しました。次に、看護師より糖尿病という病気についてご説明し、進行するとどのような症状が出るのかということや、カロリー計算をして食事制限をすることの必要性などを話しました。1日3回インシュリン注射をしているSさんの現状は、糖尿病患者の中でも「重度」の部類に入ります。そんなSさんにお菓子を与えるということは命を縮める行為であるとも言いました。   ...
【第2回】糖尿病のSさんと、好きなものを食べてほしい家族 ~血糖コントロールがうまくいっていない~
奥様に話をしなければならないなと思いつつ、少し様子を見ることにしました。これが日常的に続くようであればきちんとお話する場を設けようと思いました。 しかしそれからほんの数日後、今度は看護師から報告がありました。昼食前に血糖測定のためSさんの部屋へ行ったところ、奥様がチョコレートをあげているところだったというのです。看護師が声をかけると、奥様は少し気まずそうな表情で、「少しならこれ、あげても大丈夫ですよね?」と聞いてきたそうです。看護師は、「カロリー計算をした食事を提供している方に施設側の把握し ...
【第1回】糖尿病のSさんと、好きなものを食べてほしい家族 ~ロングステイのSさん~
これは、私がショートステイ相談員として働いていた頃の話です。 Sさんという利用者さんがいました。糖尿病を患う79歳の男性で、月に1度も家に帰ることはなく、事実上施設入所されている状態のロング利用者でした。Sさんは下肢筋力の低下が著しく、全く立てないわけではありませんでしたが基本的にいつも車椅子上で生活していました。83歳の奥様がよく面会にいらしており、40代の娘さんが2人いました。 Sさんは施設内ではまだ若く、お元気な印象の方でした。帰宅願望が出ると車椅子から立ち上がり転倒する ...
【小説風事例紹介】認知症のAさんと何も知らない私の関わり方
1.初めての出会い これは私がまだ今の介護施設で勤務する前、当時高校生だった私が、ある介護施設でアルバイトを始めた時の話です。当時は、介護や認知症に関する理解はなく、少し話を聞いたことがあるという程度でした。 アルバイト先で認知症を呈した女性Aさんと出会いました。 Aさんは入所前に認知症の症状が著名になり、徘徊等で近所からの苦情が絶えなかったそうです。そのため兄弟が引き取り看ることにしたそうですが、その時すでにAさんも70代であり、兄弟も70代という老老介護により在宅での生活 ...