慈善組織協会(COS)とは?
COSは「charity organization society」の略称です。
・【実務未経験者必見】社会福祉士の仕事ってこんな感じなんです。総集編(1~3巻分)
・【実務未経験者必見】社会福祉士の仕事ってこんな感じなんです。総集編(4~6巻分)
社会福祉士に興味がある方に読んでもらいたい1冊です。本HPで連載していた事例を紹介しています。施設相談員がメインの事例となっており、介護福祉士と何が違うのか、どんなことをするのかよくわかると思います。小説風に書かれているので読みやすいかと思います。
19世紀のイギリスでは資本主義が急速に発展し、その影響で貧困者や浮浪者が増大しました。それに対して私的救済活動も活発になりましたが、それぞれの慈善組織が慈善活動を行うため、複数の救済を受ける人(濫給)や全く救済を受けられない人(漏給)が存在していました。上流、中産階級の行う慈善は共通の原則がなく、慈善団体間の連絡もしっかりとできていなかったのでこれらの問題が起こりました。そのため、慈善活動の一元管理と、貧困者が慈善活動に頼り切ってしまうことがないように人格的な支援を行うことを目的にして、1869年にイギリスにて慈善組織協会が誕生しました。
貧困問題を、社会問題としてではなく個人問題として捉え、救済の対象を「救済に値する貧民」と、「救済に値しない者」として区別しました。そして、「救済に値しない者」は慈善の対象とはされず、救貧法に任されることになります。
友愛訪問とは?
慈善組織協会(cos)では、地区ごとに地区委員会を設置して、対象となる貧民の世帯を訪問して調査を行い、記録を行います(友愛訪問)。その記録に基づいて、各慈善団体の間で連絡調整を行い救済を実施しました。この方法はケースワークやコミュニティ・オーガニゼーションの先駆的なものです。
この訪問こそが、「施与よりは友情を」と重視した友愛訪問であり、貧困者の実情把握と道徳的な感化をなす役割が友愛訪問員でした。友愛訪問員は、経済的に安定し時間的に余裕のある女性がボランティアとして担うこと相応しく、明るく楽しい家庭の母や娘が幸福を貧困者に分け与えることができると認識がありました。
リッチモンドとの関係
リッチモンドが所属していたのはアメリカのCOSです。慈善組織協会は1877年にニューヨーク州バッファローに誕生し、その後全米へと広がりました。1889年、ボルティモア慈善組織協会の会計補佐から始まり、2年後には事務局長、そして1900年にはフィラデルフィア慈善組織協会と関りを広げ、友愛訪問をケースワークとして専門的水準へと高めました。
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