【在宅介護体験】認知症の祖母は自宅で暮らしたい
認知症の祖母の思い
祖母に認知症の症状がうすうすみられるようになり、人の名前を忘れるようになったり、間違えるようになったり、息子や孫の判断がつかなくなることが増えてきました。施設に入れるか自分たちで介護をするか親族で話しあい、自分たちが介護できる間は家で祖母の面倒を見ようという結論に一旦は至りました。
ですが、親族はほぼ皆働いていたので、誰がつきっきりで面倒を見るのかなど問題も様々でてきました。そのため、1度施設へ入居をお願いすることになったのですが、仕事の都合で祖母に会いに行けない日々が続き、祖母に寂しい思いをさせてしまう結果になってしまいました。
祖母の外泊許可が出た時に親族で集まって皆で過ごす機会がありました。その時に祖母が「家に帰りたい」と涙を流しました。それを見た親族はやはり自分たちと過ごす方がきっと良いだろうと思い、私が仕事を辞め在宅で介護を行うことになりました。
精神的にも身体的にも負担が大きい
在宅介護を行うようになり、1番困ったのは症状が悪化していく姿を見る事でした。決して認知症の症状は良い方向には向かっていかず、ついにはご飯をたべる量も減っていき、食事介助をして食事をとらせようとしても祖母が拒否することもあったり、感情をあらわにして怒りや悲しみをこちらにぶつけてくることも多々ありました。歳をとっているとはいえ、怒りをぶつけられ、手が出ると力があるので、こちらの怪我にも繋がることもありました。自分の名前を忘れていく姿や、日に日に弱っていく体をホットタオルで拭いたりして目に見える姿を受け止めきれずに胸が締め付けられるような思いになることがありました。
その他は、身体的な負担が多かったです。人1人を抱えて移動を手伝ったりすることは、身体的にかなりの負担がかかります。朝祖母が目を覚ましてからトイレに抱えて連れていき、オムツの交換をしてまたベッドへ連れ戻す、朝ごはんの支度をするにも一苦労です。煮た野菜をブレンダーなどでつぶし、液状にしてのどに詰まらないようにする必要があったので、食事を作るだけでもかなりの時間がかかりますし、台所にずっと立って料理をしていると腰が痛くなってきたりしました。
食事を作っている間も目が離せませんし、ベッドから落ちるかもしれない、何かものを飲み込んでしまうかもしれない、と色々なことに注意していましたので、毎日毎日祖母から全く目が離せない状態が続きました。自分の時間なんて無くなりますし、必要なものがあっても代わりに見てくれる親族が帰ってくるまでは、その場所から動くことすら厳しいですし、買い物になんて絶対いけません。
ずっと同じ場所に座っていたり立っていたりすることが案外一番しんどかったかもしれません。足は当然むくみますし、毎日マッサージや肩をもみほぐさないと次の朝起きたときに体が痛くなっていることも多々ありました。毎くたくたになって祖母の面倒を1から10まで見ていると身体的にも勿論ですが精神もやられてしまいます。
世間で言われているように在宅介護は身体的負担や精神的負担が大きいと実感しました。
在宅介護のアドバイス
在宅介護において一番上手なやり方は、認知症の場合ですが名前を忘れられても置いてあるものの場所が分からなくなったりしても同じような会話が続いても、深く考えずに1つ1つの会話そのものを楽しむことだと思いました。割り切って考えるのではなく会話や行動すべてを楽しく感じるように心がけるようにするだけでぐっと精神的負担は減ったように思いました。
負担に感じて精神的に追いやられてしまうパターンがよくあることだと思うのですが、介護において相手の面倒を見るのに自分まで悪くなってしまったら意味がないので、相手との日々を楽しむことだけで相手との関係や雰囲気も良くなります。たとえ相手が認知症の症状で自分のことを分かっていなくても、こちらがピリピリしていたり怒っていると伝わりますしちゃんと相手もその空気を感じ取っています。
鬱病でも笑顔が増えることで直ったという症例もあるくらいですので、認知症でも同じなんだなと感じました。自分も相手もよりよい環境や雰囲気で暮らしていけるようにすることが在宅介護にとって1番重要な工夫だと私は感じました。