更生保護 仮釈放制度の意義や実態を説明!
仮釈放とは、懲役または禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について、刑法第28条の規定により、収容期間の満了前に釈放するものである。仮釈放を許された者は、仮釈放の期間中、保護観察に付される。保護観察の対象者は、遵守事項を遵守しなければならない。仮釈放中にさらに罪を犯し罰金以上の刑に処せられた時や遵守事項を遵守しなかったとき等には、仮釈放が取り消されて、再び刑事施設等に収容されることがある。
社会福祉士に興味がある方に読んでもらいたい1冊です。本HPで連載していた事例を紹介しています。施設相談員がメインの事例となっており、介護福祉士と何が違うのか、どんなことをするのかよくわかると思います。小説風に書かれているので読みやすいかと思います。
仮釈放の許否を判断する機関は、地方更生保護委員会である。
地方更生保護委員会とは
犯罪者予防更生法に基づき全国8ヵ所の高等裁判所の所在地に設置され,その管轄地域内の刑務所受刑者の仮出獄,仮出場の許可および取消し,不定期刑の受刑者の刑期の終了決定,仮退院,退院の許可,保護観察所の事務の監督などの権限を有する合議制の決定機関をいう。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「地方更生保護委員会」の解説
仮釈放は以下の手順で行われる。①刑事施設等の長から収容中の者の身上関係事項の通知を受け、②保護観察所の長が「生活環境の調整」を行う中で、③「法定期間」が経過し、④調査を行って「申出によらない審理」を行い又は矯正施設の長からの申し出に基づき「審理」を開始し、⑤調査を行って、⑥仮釈放を許す旨の決定を行う手続きを経て行われる。
生活環境の調整
①刑事施設等の長から収容中の者の身上関係事項の通知を受ける
刑事施設等の長は、新たに刑事施設等被収容者を収容した場合、当該刑事施設等の所在地を管轄する地方更生保護委員会及び刑事施設等被収容者にかかる帰住予定地を管轄する保護観察所の等に対し、書面により、当該刑事施設等被収容者の氏名、生年月日、犯罪又は非行の概要、動機及び原因、生活歴、心身の状況、帰住予定地、引受人の状況、釈放後の生活の計画などの事項を通知しなければならない。
②保護観察所の長が「生活環境の調整」を行う
保護観察所の長は、刑事施設等被収容者について、その社会復帰を円滑にするために必要があると認めるときは、その者の家族その他の関係人を訪問し協力を求めることやその他の方法により、釈放後の住居、就業先その他の生活環境の調整を行うものとされている。
③「法定期間」が経過する
仮釈放が許されない期間であり、有期刑は、執行すべき刑期の3分の1の期間を経過する末日の翌日から、無期刑は、10年を経過する末日の翌日から仮釈放を許可することが可能となる。
④「審理」を開始する
地方更生保護委員会は、仮釈放を許すべき旨の届け出がない場合であっても、必要があると認めるときは、仮釈放を許すか否かに関する審理を開始することができる。開始するにあたっては、あらかじめ、審理の対象となる者を収容している刑事施設等の長の意見をきかなければならない。
⑤調査を行う
地方更生保護委員会や3人の委員をもって構成する合議体は、申出によらない審理を開始するか否かを判断するために必要があると認めるときは、審理対象者との面接、関係人に対する質問その他の方法により、調査を行うことができる。
⑥仮釈放を許す旨の決定を行う
刑事施設等の長は、刑事施設等被収容者について、法定期間が経過し且つ法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方更生保護委員会に対し、仮釈放を許すべき旨の届け出をしなければならないとされている。
■参考文献
①社会福祉士養成講座編集委員会編『更生保護制度』中央法規