岡村重夫
(1906-2001年)大阪府に生まれ。戦後日本における社会福祉学の研究者。東京帝国大学卒。機能論的視点からの精緻かつ首尾一貫した理論構成で知られる。社会福祉方法論、地域福祉論、家族福祉論等の各論分野についても指導的役割を果たし、理論的・ 実践的に大きな影響を与えてきた。
社会学のコミュニティ形成を「福祉コミュニティ」概念として捉え、地域福祉の活動に「福祉コミュニティ」づくりを位置づけ、生活者的視点や実践としての技術を重視した。
主な著書『社会福祉学総論』『地域福祉論』。
竹内愛二
(1895-1980)京都府生まれ。ソーシャルワークの研究者。日本にケースワークを紹介した。戦時下には厚生事業論に依拠するケースワーク論を説いた。戦後は関西学院大学に移り、『専門社会事業研究』により、臨床的ケースワーク論を体系化した。
晩年には哲学的な志向を深め実存主義的ケースワークを説く。日本社会福祉学会や日本基督社会福祉学会の設立、運営にも寄与している。
主な著書は『ケース・ウォークの理論と実際』。
永田幹夫
地域福祉の機能的アプローチの代表的論者。全国社会福祉協議会の事務局長を勤める。
地域福祉を①在宅福祉サービス(対人福祉サービス)②環境改善サービス(生活・住居条件の改善)③組織活動(コミュニティーワークの方法技術)と定義する。
地域福祉が在宅福祉と同じものであるとの誤解を受けやすく、住民参加を強調しているものの階層的利害関係を捨象している批判もあるが、サービスの対象を要援護者に絞ることで、地域における供給システム、在宅サービスの地域的展開を鮮明化したことで評価されている。
主な著書は、『地域福祉組織論』。
真田是
(1928- 2005年)静岡県生まれ。日本の社会学者。東京大学文学部社会学科卒業。
広義の地域福祉を3つに分けて捉えている。①産業政策をとおして地域の経済的基盤を強め、住民の生活の基礎を発展させること、②過密・過疎問題に見られるような生活の社会的・共同的な再生産の部分の遅れやゆがみを正すこと、③これらの措置を住民の自主的な参加=運動の支えによって行っていくことである。これらの視点は、以前から真田の持論であった社会福祉における「対象の二重性規定」に通底するものである。
三浦文夫
(1928年-2015年)東京都生まれ。日本の社会福祉学者。東京大学文学部社会学科卒。
社会福祉を、「社会的に援護が必要と考えられる人々(要援護者又はニードを持つ人びと)の自立を測るために、この自立を妨げている問題(ニード)の充足を図るという機能を持つもの」と捉えて、社会福祉ニードとその充足の方法(サービス)、そして両者を結合させる社会福祉サービスの運営を考究した。
非貨幣的なニーズに対応する社会資源や供給システムを地域社会をベースに展開する必要性を主張し、地域福祉と関連させつつ「在宅福祉サービス」の理論的な裏付けを行なった。
主な著書は、『社会福祉経営論序説政策の形成と運営』。
右田紀久恵
(1931年-)大阪府生まれ。日本の社会福祉学者。
地域福祉を「生活権と生活圏を基盤とする一定の地域社会において、経済社会条件に規定されて地域住民が担わされて来た生活問題を、生活原則・権利原則・住民主体原則に立脚して軽減・除去し、または発生を予防し、労働者・地域住民の主体的生活全般にかかわる水準を保障し、より高めるための社会的施策と方法の総体であって、具体的には労働者・地域住民の生活権保障と、個としての社会的自己実現を目的とする公私の制度・サービス体系と、地域福祉計画・地域組織化・住民運動を基礎要件とする」と定義する。
主な著書『自治型地域福祉の展開』(2005)。