社会福祉士コラム

【療育体験】この子は私に必要だから、神様が授けてくださったんだと思う

 

障害の種別

自閉症スペクトラム

 

この子は私に必要だから、神様が授けてくださったんだと思う

赤ちゃんの時から、ほとんど寝ない子で、首もなかなか座らず、1歳を過ぎても言葉も出ず、1人歩きが出来なかったので、診察を受け半年間、月に1回リハビリに通いました。最後の診察では、まだ立つこともできませんでしたが、リハビリが終了し、その後市の1歳半検診で、周りの子は走り回ってるのに、うちの子は立つこともできず、ずっと泣いていていたので、抱っこしてなんとか落ち着かせるのに大変でした。

 

問診で、発達に遅れがあるので、診察を受けた方がいいと言われ、以前リハビリに通っていた病院に行くことを勧められ、診察を受けました。その時は、半年ぐらい様子を見ましょうと言われましたが、半年後自閉症スペクトラムの診断が出ました。

 

言葉が出なかった時は、泣いてばかりで、どうしたいのか、何をしてほしいのか聞いても答えられないし、気持ちを分かってあげられないのが、ものすごく苦しくて、そんなことが何年も続いて、他にも大変なことがたくさんあって、今の生活、将来のことを考えると不安になってしんどくなることが多々ありました。

 

3歳から母子分離の療育の園に通うようになってから、少しずつできることが増え、言葉も出てきて、この子のペースで成長していると実感できたので、すごく嬉しかったのを覚えています。

 

療育の施設はバスで1時間近くかかる場所だったので、最初不安でしたし、2年目からは毎朝バス停近くの駐車場で行くのを嫌がり、抱き抱えながら、バスまで連れて行き、先生にお願いするという日が続きました。

 

そんな大変な中でも、園から連絡帳には、その日にあった出来事を細かく書いてくださっていて、良いことも、悪いことも知ることができ、家では見せない一面や、お友達との関わりなど社会性も身についていることも確認でき、何より園に入る前までは、私1人で悩んでいたことを、先生に相談したり、親身になって、一緒にどうするか考えてくださったことが、私は1人じゃないという私自身の心の安定に繋がっていました。

 

園で知り合った、同じ様な障害の子供を持つお母さん方と関わりを持て、お話できたのも心強かったです。

 

その園は先生の勧めもあり、2年間通ったあと、地域の保育所に転園しました。最初はものすごく不安でしたが、先生が「○○君はここにいるより、健常の子達の中にいた方が伸びるし、それだけの力がありますよ」と言ってくださったので、私自身の不安は置いておいて、この子が少しでも成長できる環境に置いてあげた方がいいと思い、転園を決意しました。

 

待機児童のことや、以前一度保育所に落ちた経験があるので、転園できるかも不安でしたが、なんとか保育所が決まり、転園することができました。

 

子どもには転園する前から、4月から新しい保育所に行くことを何回か教えていましたが。入園式では途中少し泣きましたが、園での生活が始まってからは、楽しかったみたいで、一度も嫌がることなく、通うことができました。

 

保育所での生活に変わったことでこれまで以上に言葉やできることが増えました。遊び方も変わってきて、弟と一緒にごっこ遊びや、保育所でしたことを家でやってみたり、自分のしたいことや、嫌なことを泣きながらでも伝えることができるようになりました。

 

運動会では、和太鼓やダンス、組体操なども、お友達に助けてもらうことがありましたが、ほとんど1人ですることができました。障害物競走に関しては、一番最後でしたが、全て1人でこなし、ゴールすることができました。保育所での最初で最後の運動会は、子供の成長を感じられたとても思い出深いものになりました。

 

療育の園でもそうでしたが、保育所でも先生方に恵まれ、根気よく指導してくださいました。本当に感謝しています。子供ができるまでは、全く子供と関わる機会がなかったのですが、初めての子で、障害を持って生まれてしまい、なんで?なんで?と落ち込み、悩みました。

 

私自身周りに障害者との関わりがなかったので、全く理解できず、これからどうなっていくのか考えて、毎日不安で苦しい日々でした。自分の子なのに、自分とは、違った道を進まないといけない、しかも健常者に生まれていれば、しなくてもいい苦労もしないといけない我が子がとても不憫に思えて仕方なかったです。

 

でも、毎日一緒に暮らしていく中で、大変なことがほとんどだけど、成長している姿や、優しい気持ちがあることに気づいた時など、すごく嬉しく、生んで良かったなぁ、育てて良かったなぁと思えるようになりました。

 

逆に私が子供に気づかされることも多く、自分が健常者だからとどこか見下している、人間の汚い部分に気づかされたこともありました。障害者だからとか、健常者だからとか関係なく、みんながお互いに足りない部分をフォローしたり、助け合いながら仲良く暮らせるのが大切だということに気づけたのも、子供のお陰です。

 

この子は私に必要だから、神様が授けてくださったんだと思うようになりました。健常者も誰一人完璧な人間なんていないと思います。一人一人が周りの人達に関心を持ち、優しい心で接することができれば、もっと生きやすい世の中になると思います。

 

-社会福祉士コラム
-, ,