社会福祉士コラム

【療育体験】療育に行くことは恥ずかしいことじゃない、堂々としていればいいんだ

 

障害の種別

広汎性発達障害

 

療育に行くことは恥ずかしいことじゃない、堂々としていればいいんだ

0歳から長男を保育園に預けバリバリ働くワーキングマザーでした。保育園のクラスは9人で、長男は6月生まれだったのでどちらかと言うと上の方でした。12月生まれの子もいたので、入園当時は長男の発達が遅れていることは全くわかりませんでした。でも徐々に他の子たちが一言二言話すようになってくると全く話さないことに疑問を感じ始めました。

 

1歳クラスに上がる直前の3月に、クラス担任と園長に長男のことで面談することになりました。そこで、発達に遅れがあるかもしれないので、療育相談に行ってみたらどうかと言われたのです。

 

数か月前に受けた検診の時も同じ様なことを言われたのですが「まだ分かるはずがない」となかなか決心がつかない状態でした。毎日みてもらっている保育園の先生達にも同じことを言われもう逃げられないと思いました。

 

長男を連れて療育相談に行ったところ、「広汎性発達障害」私が知っている名前だと自閉症の疑いがあると言われたのです。目の前が真っ暗になりました。暫くは長男の顔を直視できなくなってしまうほど落ち込んでしまいました。

 

保育園の1歳クラスに入ってから、2週間に1回療育に連れて行きました。本当は週に1回行かせたかったのですが、私も仕事をしているのでなかなか週に1回は難しいので無理をしない選択をしました。

 

あと、長男が療育に通っていることを同じクラスのママたちに絶対知られたくないという思いもありました。2週間に1回お昼に迎えに行くというサイクルなら目立たないかなと思ったのです。

 

いつも給食を食べ終わった後、お昼寝前にササッと迎えに行くようにしていました。休ませても良かったのですが、昼お迎えの方が目立たないと思っていたのが理由でした。

 

ところが、ある日、長男を迎えに行くとちょうど同じクラスのミクちゃんのパパと玄関で一緒になりました。「お迎えですか?」と聞かれました。「はい」と答えましたがもう心臓がバッコンバッコンして飛び出るのではないかとさえ思いました。

 

私は「噂好きのママのうちだ、最悪!何でこんな時間にお迎え?」と疑問に思いちょっと横目で見ていると熱が出て迎えに来たようでした。正直「ついてないな」と思いました。自転車置き場でまた一緒になり「お熱ですか?」と今度は聞かれました。嘘でしたが「はい」とまた答え、もう気持ちはどん底です。そんなことで嘘をつく自分も情けない気持ちでいっぱいです。

 

次の週です、先週のことがトラウマで本当に憂鬱な気持ちで迎えに行きました。「やれやれ、今日は誰もいなかった」と安堵のため息をつき長男を自転車の後ろに乗せて療育に向かうと、後ろから「あっ、すみません」と聞き覚えのある声がしました。

 

「えっ!まさか」そうです、何とミクちゃんのお父さんが追い抜いて行きました。目が合い「あっ、ハル君のママ。ちょっと急いでて。すみません」と声を掛けられ、またどん底です。もう這い上がるのは無理そうでした。

 

その後、長男が広汎性発達障害と分かって初めての運動会を迎えていました。「競技とかじゃなくていつもやってる運動遊びを見てもらう感じです」と先生からは言われていましたが当日はドキドキでした。

 

徒競走では先生に名前を呼ばれて手を上げて「ハイ」と他の子は言っていました。もちろん長男はそこは出来ませんでしたが100万ドルの笑顔でちゃんとゴールテープを切ることができました。「スゴイ、スゴイ」。両親と親戚たちは大拍手です。

 

その次のダンスはノリノリでした。音楽に合わせてちゃんと体を動かしてる。「スゴイ、スゴイ」またまた大拍手です。

 

これ以上の出来を望むことなんて一つもありませんでした。

 

運動会は学校を借りていたのですが、帰りの昇降口はすごい混雑でした。私たち家族は未だテンションは下がらず長男を連れて列に並んでいました。その時、何とミクファミリーと隣合わせになりました。「えっ!」と思った瞬間。ミクちゃんのパパが「ハル君恰好よかったですね!」と一言。何か考える間もなく「ありがとうございます!」口から出ていました。

 

本当に嬉しかった。不安とか恐れとかしがらみがパンッと吹っ切れた瞬間でした。ミクちゃんパパがどんな気持ちでそれを言ったのかは分かりませんが、もうそんなに深く考えなくてもいいのではと考え始めました。「療育に行くことは長男のためだし何も悪いことをしているわけじゃないんだから堂々としてればいいんだ」と思えて来ました。

 

療育に行くことが恥ずかしいとか思っていた自分が恥ずかしい。もうそんな愚かな考えを捨てようと自然に思えた喜びの瞬間でした。

 

 

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