海外旅行の期間は一週間。Hさんにとって自宅以外で一週間過ごすのは初めてということでした。しかしショートステイに到着したHさんに不安そうな様子はなく、「久しぶり」と私や他の職員に声をかけてくれました。
そして、前回利用時と変わらぬ様子で過ごされました。食事のときには必ず部屋から出てこられ、夜眠るとき以外はほとんど食堂やソファで他の方々と同じ時間を過ごしました。レクリエーションにも意欲的に参加してくれました。一週間の間にお友達を作り、その方と笑顔で話す姿も見ることができました。
「Hさんは社会的な関わりを欲している。」そう感じました。ずっと家にいたいから引きこもっているわけではないのです。そして、利用中にHさんからこんなことを聞きました。「なんかデイサービスっていうところに来週から行くみたいなんだ。」「あぁ、そうなんですね。どうですか、楽しみですか?」と聞くと、「そうだね…、どんなところかわからないけど。ショートステイみたいな感じならいいかもしれないね。」と言ってくれました。
おそらくデイサービスへ行っても楽しむことができるでしょう。最初の寡黙な印象とは打って変わってHさんは意外に社交的な方です。自分から友達を作りに行くタイプではありませんが、こちらが話しかければ心を開いてくれます。
そして、利用6日目に介護職員から少し驚く情報が入ってきました。「なんだかHさん、最初にお会いしたときよりも歩行状態が安定してきたような気がします。ムラもありますけど…。」と言うのです。
その職員の話によると、寝起きはやはりふらつくため危ないが日中食堂の椅子から立ち上がってトイレへ行くときは実にスムーズであり、付き添いは一応するが必要ないのではと思うほど安定しているということでした。
たった一週間で筋力や歩行状態にそのような顕著な変化が出るだろうか?と、疑問でしたが、事実は事実でした。介護主任や他の職員に確認しても答えは同じでした。自宅との生活とは180度違う生活をここで送っていることは確かです。デイサービスも併用するようになれば、本当に介護度が回復していくだろうと思いました。