「もっと困っている人からご依頼があったときには、ご相談をさせていただきます。もしFさんがよろしければ、こちらのサロンのお手伝いもまたお願いできたらと思います。またご案内を出させていただきますので、ご都合がついたときや気持ちが向いたときだけで構いません。ご検討お願いします。」
Fさんにはそのようにお話しし、その日を終えました。私はFさんから最初にお電話をいただいたとき、もしかしてこのまま担い手として活動しようという気持ちを失ってしまうのでは…という不安を感じていました。しかし、活動を終えたFさんの表情を見たときには、その不安はいつの間にかなくなっていました。
その半月後、再びサロンの開催日となっていました。事前に受講者の方々にボランティアの依頼を出しており、その中にはFさんも含まれていました。今回も参加していただけるとお返事をいただき、安堵の気持ちで一杯になりました。
今回は、私は現地を訪れることなく、地域包括支援センターの職員へ任せることにしました。前回の様子を見ている限りではFさんがサロンの活動にボランティアとして参加することに問題はないと判断したため、これまでの経過を伝えると共に何かあれば連絡をいただくということにしました。
そして、その日も特に問題はなく活動を終えたと報告がありました。今後もこのように繋がっていってくれたら良いな、と思いました。
それから、約半年が経ちました。月に2回開催されているサロンの活動に、Fさんはほとんど毎回参加してくださっていました。もっと困っている人を直接助けるような活動内容でないとやりがいがない、というようなことを最初は仰っていましたが、徐々に「地域におけるサロンの重要性」というものを肌で感じて理解していってくれたようでした。
Fさんは、誕生日を迎え85歳になりました。変わらずサロンでのボランティアを続けていたのですが、ある日地域包括支援センターから一本の電話が入りました。
「あの、いつもお手伝いに来ていただいているFさんのことなんですけど…。」どことなく職員の口が重く、何かあったのかと少し身構えました。
「Fさん、何かありました?」私がそう聞き返すと、職員はこう答えました。「変わらず毎回来てくださって、それはそれはよくやってくださって感謝しているんですけどね。実は最近少し様子が変わってきまして。」
これを聞いて、私は最初Fさんのボランティアや担い手としての活動に対する気持ちが変化したのかな?と思いました。