社会福祉士コラム

【社会福祉士】現代社会において社会保障(制度)が果たしている役割とは?

この記事では、現代社会において社会保障(制度)が果たしている役割について述べる。考え方の一例として参考にしてください。

社会保障(制度)の定義

我が国における社会保障費は増大しており、日々その存在感は増している。しかし、社会保障の範囲は幅広く、その存在は漠然としている。そのため、まずは、我々の生活の変化と合わせて社会保障制度が果たしている役割、機能について整理したい。

まずは社会保障を社会保障制度と理解してその定義を整理する。「社会保障制度に関する勧告」(社会保障制度審議会:1950)では、社会保障制度を「社会保障制度とは、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいうのである。」と規定している。

つまり、社会保障制度の機能は、国民の生活の安定が疾病や高齢化や困窮によって損なわれた場合に、社会的セーフティネットとして生活の安定や安心を保障する機能を持っているのである。また、個人的な視点だけではなく、上述のような人たちの所得や衛生、福祉の水準を引き上げることで、個人消費の促進や就業の促進により経済成長にも寄与するため、「社会の安定及び経済の安定と成長」といった機能も持ち合わせていることが分かる。

社会保障の4つの柱

この社会保障は4つの柱(社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生)からなっている。

社会保険

まず社会保険は日本の社会保障制度の中心的な存在であり、リスクに備えて事前に保険に入り、対象となる事柄が起こった時に、現金給付または現物給付により生活を保障する仕組みである。日本では、国民皆保険・皆年金により、国民誰もが医療を受ける機会や老後の生活の保障を実現させている。保険の仕組みを利用してリスクに対する給付を行う防貧制度であることから生活に困窮している人への救貧制度である生活保護とは性質が異なる。

社会福祉

社会福祉制度とは、高齢、障害、児童、ひとり親等への福祉サービスなどを社会的に提供することにより、生活の安定や自己実現を支援する制度である。加入者の拠出を前提とする社会保険とは異なり、必要な費用の大半が税財源により賄われる無拠出制の制度である。また、高齢者、児童、障害者、母子家庭というように対象者が特定された上で個別に制度化されている点が特徴的である。

公的扶助

公的扶助とは、税を財源として貧困者に対し資力調査(ミーンズテスト)を要件に、国または地方自治体が最低限の生活を保障する制度である。日本国憲法第25条の生存権に関する規定が生活保護法の根拠となっており「健康で文化的な最低限度の生活」を国の責任により保障している。社会保障における「セーフティネット」としても重要な役割を果たしている。

保健医療・公衆衛生

保健医療・公衆衛生とは、国民が健康に生活できるための様々な事項の予防、衛生のための制度である。病院等の医療サービスや、母子の健康を増進する母子保健などがある。

社会保障の機能(役割)

次に、社会保障が社会の中で果たしている機能(役割)については3つに分類される。

生活安定・向上機能

1つ目は生活の安定を図り、安心をもたらす生活安定・向上機能である。医療保険制度を例とすると、負担可能な自己負担で医療を受けることができるため、人生のリスクに対応して生活の安定につながっている。

所得再分配機能

2つ目は所得を個人や世帯の間で移転させることにより、国民の生活の安定を図る、所得再分配機能である。生活保護制度では、税を財源として高所得者層からの資金を低所得者へ移転することで低所得者の生活を支えている。

経済安定機能

3つ目は、景気変動を緩和し、経済成長を支えていく経済安定機能である。例えば、公的年金では、一定の収入が安定してあることで不況時においても生活の安定や消費活動の下支えとなり経済成長の安定に寄与している。

まとめ

ここまでを総括すると、社会保障は我々の生活に寄り添って存在している、「もしもの備え」であり、例えば怪我をしてしまった時には医療保険を用いて生活が破綻しないように医療の大部分を保険給付で賄うことができる。また、その怪我により働くことができなくなってしまったとしても、傷病手当金によりある程度の生活は保障される。その怪我により障害認定された場合には、福祉サービスの利用により生活の支援を受けることができるようになっている。このように何かあった場合であったとしても生活を維持できるように支援を行う仕組みである。

また個人に対する保障だけでなく、所得の再分配機能や経済安定機能にみるように社会全体の調整も行っており、気づかないところで社会全体を支えているものであると考えられる。

そして、我々の生活や社会の変化に合わせて、社会保障も変化を続けている。超高齢社会において介護保険が新しく登場したように、これからも生活を支えるために変化を続けていくものであると理解した。

参考文献

1.福祉臨床シリーズ編集委員会(2019)『社会福祉士シリーズ12 社会保障 第6版』弘文堂

2.福祉臨床シリーズ編集委員会(2019)『社会福祉士シリーズ16 低所得者に対する支援と生活保護制度 第5版』弘文堂

3.社会福祉士養成講座編集委員会 編(2016)『低所得者に対する支援と生活保護制度(新・社会福祉士養成講座) 第4版』中央法規出版

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