実習指導者がどのように実習プログラムを組んでいるか知っていますか?もちろん実習生の作成した実習計画書に基づいて、希望をなるべく組み込んだプログラムにはしていますが、実はきちんとプログラムの組み立てについて決められているのです。今回は、相談援助実習がどのように展開していくのか、週ごとに説明していきます。
職場実習(概ね1週目)
一週目の職場実習では、まずは実習先である施設や機関の概要を理解することを目的にしています。どのような地域にどのような人々を対象として、何を目的にどんな体制で援助を行っているのかを理解する段階です。実習先によっては扱っている事業が多く、1週間では理解することが難しいかもしれません。
そこで、実習指導者はあらかじめ実習生に事前学習を課し、組織や事業概要についての予備知識を身につけさせます。ある程度の予備知識を身につけてから実習に臨んでもらうことによって、1週目の職場実習を事前学習の確認の場とすることもできるのです。
1週目の内容としては、説明・観察を中心とし、職場内の異職種連携(チームアプローチ)の理解や関連のある地域や社会資源との連携のありかた、援助方針など学びます。
職種実習(概ね2週目)
2週目の職種実習では、実習指導者が社会福祉士として担っている業務全般を体験することを目的としています。ここでは、社会福祉士として働くうえで関連・派生する様々な業務について学びます。
そこで多くの実習生は思い描いていたソーシャルワーク業務とは異なる現実を知り、ショックを受けることでしょう。実際に現場で働く社会福祉士の中で、ソーシャルワーク業務だけを担う職員というのはまずいません。ケースワーカーとして働いていても書類作成などの事務作業もありますし、施設の相談員であれば送迎業務やケアワークをすることもあります。
どうして職種実習でそのような実情を見てもらうのかというと、実習生にソーシャルワーク業務との関連性、または非関連性について考察してもらいたいからです。その部分に着目して実習に挑むと、より社会福祉士という職種の実態が見えてくると思います。
2週目の内容としては、一部体験もありますが主に観察を中心とし、担当の社会福祉士に同行して説明を受けたりします。実習指導者に1日密着して観察させ、記録を付けさせるタイム・スタディを実施することもあります。
ソーシャルワーク実習(概ね3~4週目)
いよいよ3週目からはソーシャルワーク実習に入ります。ニーズの把握、アセスメント、ニーズの構造化、援助目標や記録の作成、契約、連絡調整、モニタリング、苦情解決といったソーシャルワークの専門的業務を学びます。
具体的な内容としては、面接やアセスメント等のケースワーク、当事者・利用者グループの運営やレクリエーションといったグループワーク、住民参加による計画策定や地域資源開発等のコミュニティワーク、職員研修や苦情解決等の関連技術について、実践・学習することになります。苦情解決や虐待対応など、立ち合いが難しい場合は、記録を読むという学習方法をとる場合もあります。
このソーシャルワーク実習では、ソーシャルワークについての理解を深め、利用者の生活に関わる専門職として、求められている役割(力)を獲得していくことを目的としています。
社会福祉士に求められる役割
(厚生労働省 介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見 平成18年12月12日より抜粋)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/s1212-4.html
①福祉課題を抱えた者からの相談に応じ、必要に応じてサービス利用を支援するなど、その解決を自ら支援する役割。
②利用者がその有する能力に応じて、尊厳を持った自立生活を営むことができるよう、関係する様々な専門職や事業者、ボランティア等との関連を図り、自ら解決することのできない課題については当該担当者への橋渡しを行い、総合的かつ包括的に援助していく役割。
③地域の福祉課題の把握や社会資源の調整・開発、ネットワークの形成を図るなど、地域福祉の増進に働きかける役割。
まとめ
相談援助実習のプログラムは、職場実習・職種実習・ソーシャルワーク実習の3段階で構成されていますが、厳密なステップというよりも、実習生の理解度に合わせて緩やかに移行、場合によっては前段階に戻ることもあります。それぞれの段階で何を目的としているのか、どこを学んでいくのかを意識することによって、より充実した実習をすることができると思います。
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