試験対策

【社会福祉士】キーワード別過去問対策「加齢」「老化」

過去6年分(第29回~第34回)の問題において「加齢」、「老化」のキーワードが含まれる問題は3問出題されています。問われる内容はあまり変化がありませんので、過去問対策が重要です。

「加齢」「老化」に関する問題対策

ポイントはここ!

  • マイナスの変化に着目する
    • 筋力が増大したり、肺活量が維持されたりとプラスになる変化はほぼありません。マイナスの変化に着目しましょう。
  • 収縮期血圧は上昇、拡張期血圧は変化なし
    • 収縮期と拡張期の血圧の変化が問われることが多いのでどのように変化するのか理解しておきましょう。
  • 聴力低下は高音域から
    • 聴力低下は低音域ではなく、高音域から始まることを覚えておきましょう。
  • 新しいことを覚えるのは難しい
    • 流動性知識は低下しますが、結晶性知識は維持されることに注意しましょう。

加齢に伴う身体の変化に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい(第34回 人体の構造と機能及び疾病)

  • 肺の残気量が増加する
    • 〇正解です。加齢に伴って筋力低下等が起こり、肺の伸縮性が低下、結果的に肺活量の減少・最大換気量の減少・残気量の増加が起こります
    • 「残気量」空気を吐き出したあとも肺や期間に残っている空気量のこと
  • 拡張期血圧が低下する
    • 拡張期血圧とは心臓が拡張した時の血圧を指します。対して、収縮期血圧とは、心臓が収縮した時の血圧を指します。加齢により動脈硬化が進むと、大動脈の弾性力が失われ、心臓の収縮期血圧(最高血圧)は上昇します。しかし、拡張期血圧に大きな変化はありません。
  • 聴力は低音域から低下する。
    • 高周波数の音(高い音)を聞く聴力の低下から始まります。
    • 「老人性難聴」加齢による聴覚の変化で、疾患などといった原因がなく発症する聴力障害を老人性難聴といいます。
  • 下部食道括約筋の収縮力が増強する。
    • 下部食道括約筋は筋肉の一種であり加齢により緩んでくることがあります。そのた、め胃の内容物が食道に逆流し炎症を起こす逆流性食道炎のリスクがあります。
    • 「下部食道括約筋」食道と胃のつなぎ目にある筋肉であり、食物が通過するとき以外は胃の入り口を締めて胃の内容物が食道に逆流しないように働いています。
  • 膀胱容量が増大する。
    • 加齢による膀胱筋肉の筋力低下が原因で、膀胱容量の低下が起こります。また排尿筋の収縮力の低下により、残尿量の増加などが起こり、残尿感が生じ、頻尿傾向となります。

人の成長と老化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回 人体の構造と機能及び疾病)

  1. 生後2か月では、寝返りが打てる。
    • 寝返りが打てるのは生後5~6か月ごろです。生後2か月になると、あやしたときに笑い返す、笑顔が出るようになる、音が鳴ったらその方向に視線が行くなど、追視できる範囲が広くなります。また、同時期に「喃語(なんご)」と言われる「あー」「うー」などの言葉を発するようになります。
  2. 思春期には、第一次性徴が出現する。
    • 第一次性徴とは、胎児の時の性徴です。男児は陰嚢や陰茎、女児には子宮や卵巣が形成されます。思春期頃(男子11歳~14歳、女子9歳~12歳頃)に現れるのが第二次性徴です。第二次性徴では、性ホルモンが活発に分泌されるようになり、生殖能力が備わるようになります。
  3. 青年期の終わりは、身体の成長が最も著しい時期である。
    • スキャモン(Scammon、R.E.)の発育曲線によると、分類される4つの体系のうち、身長・体重・骨格・筋肉・内臓などの一般系の発育は、乳幼児期と思春期に上昇曲線が認められ、最も著しいとされています。
  4. 20歳頃には、生殖器系の成長が最も著しくなる。
    • スキャモン(Scammon、R.E.)の発育曲線によると、分類される4つの体系のうち、睾丸、卵巣、子宮などの生殖系の発達曲線では、思春期(概ね12~16歳頃)に急激な上昇曲線が認められます。
  5. 老年期には、収縮期血圧が上昇する。
    • 〇正解です。老年期になると加齢により動脈硬化が進み、徐々に血管の弾力性は失われ、末梢血管の収縮・拡張も鈍化し、水分不足もあり、血液は流れづらくなります。そのため、拡張期血圧に大きな変化はありませんが、収縮期血圧が高くなるという傾向があります。

加齢に伴う生理機能の変化に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第29回 人体の構造と機能及び疾病)

  • 体重に占める水分の割合は増加する。
    • 加齢に伴う生理機能の変化によって、体重に占める水分の割合が減少します。加齢に伴って、脂肪が増加することで筋肉量・臓器の細胞内液が減少します。脂肪は水分貯蔵ができず、水分の最大保有臓器である筋肉が減少し、細胞内液は基礎代謝に関与するため代謝による水分生成の減少も現れ、体重に占める水分の割合は減少します。
  • 収縮期血圧と拡張期血圧の差は縮小する。
    • 加齢によって収縮期血圧と拡張期血圧の差である脈圧が徐々に拡大します。収縮期血圧は上昇しますが拡張期血は50歳代から上昇が鈍くなって、その変化が少なくなるため、収縮期血圧と拡張期血圧の差である脈圧は徐々に大きい値を示すようになります。
  • 聴力は高周波音域から低下する。
    • 〇正解です。老人性難聴では、特に高周波数の音(高い音)を聞く聴力の低下から始まり、両耳とも難聴が進行する特徴があります。原因として、内耳蝸牛(ないじかぎゅう)・コルチ器といった有毛細胞の変性、聴覚中枢に至る神経細胞の減少によって生じる老化(生理的変化)による機能低下が挙げられます。
  • 肺活量は維持される。
    • 加齢に伴い肺活量は減少します。肺全体の容量は年齢の影響を受けませんが、加齢に伴って肋軟骨への石灰沈着・胸壁の支持組織の線維化・呼吸関連の筋力低下が起こり、肺の伸縮性が低下、結果的に肺活量の減少・最大換気量の減少・残気量の増加が起こります。このような現象から、高齢者は肺の酸素供給量が減少し、身体活動能力が低下しやすくなります。
  • 流動性知能は維持される。
    • 加齢に伴い、流動性知能は徐々に低下します。「流動性知能」は30歳代から徐々に低下し始めます。一方、「結晶性知能」は、むしろ70歳前後まで高まるとされています。
    • 「結晶性知能」学習や経験の積み重ねから得る知能
    • 「流動性知能」新しい知識の学習、それに対する反応の速さや正確さにかかわる知能

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