通信課程

【社会福祉士実習】ソーシャルワーク専門職としての自己覚知とは?

この記事では、相談援助演習の学習の開始期(以下、学習開始期)と現在の対比で①「ソーシャルワーク専門職としての自己覚知」の意味や意義の理解、②ソーシャルワーク専門職にとって自己覚知が必要な理由についての2点を述べる。考え方の一例として参考にしてください。

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ソーシャルワーク専門職としての自己覚知

まず「ソーシャルワーク専門職としての自己覚知」の意味や意義の理解であるが、学習開始期における自己覚知に関する認識は、就職活動や転職活動において行われる自身の気づいていない長所や短所に把握する程度の認識であり、自身のことを知ることは大切であるが、それがソーシャルワーク専門職としてどのような意味や意義があるかという点ではあまり理解できていなかった。

しかし、相談援助演習や相談援助実習を経験したことで、ソーシャルワーク専門職としての自己覚知の意味や意義をはっきりと理解できるようになったと感じている。

ソーシャルワーク専門職における自己覚知とは、自身の価値観や考え方によるものの捉え方を自覚するものである。

ソーシャルワーカーも人間である以上、これまでの自分の経験や好き、嫌いによる考え方や価値観を持っているものである。しかし、それらはすべて自覚できているわけではなく、無意識に持っている考え方や価値観が存在している。

これらを意識的に理解することが自己覚知であり、それらを把握した上でソーシャルワーク実践に活用することに意義があると考える。

ソーシャルワーク専門職にとって自己覚知が必要な理由

次にソーシャルワーク専門職にとって自己覚知が必要な理由である。

学習開始期においては、自己覚知は自身のための行為であると認識しており、自己覚知を通して自身の強みや弱みを知ることで相談援助へ活かす必要があるため、ソーシャルワーク専門職にとって自己覚知が必要であると思っていた。

この考えは相談援助実習での経験を通して大きく変わった。相談援助実習を通して、自身の中に無意識的な考え方の偏りがあることに気づくことができた。それは自身の中で、こうあるべきという理想像を持っており、それとの対比で物事を捉えているからであった。

例えば、クライエントが困りごととして「体調管理ができない」と発言したとして、ソーシャルワーカーは「この年齢でこの考え方は間違っているのではないか」「やる気がないだけではないか」と無意識に思うこともあるだろう。自身の周りに体調管理が出来ない人がおらず、大人になれば一般的に誰もが出来るものだという認識を持っていれば、このような考えにたどり着くことは自然なことである。しかし、その考えは個人の価値に照らし合わせて判断したものである。個人間でのプライベートな関係性の中であれば問題がないのかもしれないが、クライエントとソーシャルワーカーという援助関係においては望ましくない。上述の例であれば、「体調管理も出来ないこの人は、継続して続ける課題は出来ないだろう」と決めつけてしまい、本来であれば取り組むことが出来る課題の提示もされないまま、援助の幅をソーシャルワーカーの判断で狭めてしまう危険性がある。

それは意識的に排除しなければならず、そのためには自身にどのような考え方の偏りが生じているのかまずは理解しなければならない。

このような個人的な考え方の偏りが、クライエントへの援助の有り方や将来の展開においてマイナスの影響を与えることがあってはならないため、ソーシャルワーク専門職は自己覚知をしっかりと行う必要があるとの理解に至った。そのため、自己覚知クライエントの援助へ大きく影響を与えるものであり、ソーシャルワーク専門職として不可欠なものであると考える。

終わりに

以上2点を総括し、自己覚知に関する現在の考えを述べる。

ソーシャルワーカーにおける自己覚知とは、自分の固有の価値観や考え方を自覚することで、クライエントの援助時にそれらの影響を制御・排除し、個人的な物事の捉え方ではない専門職としての客観的な判断をするために不可欠なものであると考える。

参考文献

1.社会福祉学習双書 編『社会福祉学習双書 第9巻 社会福祉援助技術論Ⅰ ソーシャルワークの基盤と専門職』全社協

2. 社会福祉士養成講座編集委員会 編『ソーシャルワークの基盤と専門職(新・社会福祉士養成講座) 』中央法規出版

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