社会福祉士実習は、実習計画書を基に実習指導者によって作成されたプログラムに沿って行われます。その内容は実習先や実習生の目標によって異なりますが、どの実習先を選んでも必ずプログラムに組み込まれるのは「利用者とのコミュニケーションの時間」です。特に実習先として多く選ばれている特別養護老人ホームなどの施設であれば、援助の合間に実習生一人で利用者の輪の中に入るという機会も多く設けられます。
このプログラムで実習生の多くが直面する問題と言えば、「利用者との会話が続かない」「どんなことを話したらよいか分からない」ことだと思います。
そこで今回は、実習先で利用者と会話する際のテーマや気を付けることについて、詳しく説明をしていきます。
フェイスシート(基本情報)を読み込みましょう
実習先で利用者のフェイスシートを閲覧できる場合は、ぜひ閲覧させてもらい存分に活用していきましょう。専門職によって作成されたフェイスシートには、氏名や年齢だけでなく、家族構成や職歴、既往症や生活歴など様々な情報が記載されています。出身地や趣味など、自分との共通点を探して会話のきっかけとしても良いでしょう。生活歴や職歴からは、その利用者がどんな人生を送ってきて、何に力を注いできたのかを知ることが出来ます。
一般的に男性であれば仕事のこと、女性であれば子育てについて伺うと、生き生きと話し出してくれることが多いです。利用者が頑張ってきたこと、強み(ストレングス)を聞き出し会話へと繋げることで、「この人と話していると楽しい」「もっと話したい」と思ってもらえるように会話を誘導していくことも、コミュニケーションをとる上で大切なことであると言えます。
フェイスシートを読み込んで会話のテーマの参考にする場合は、気を付けなくてはいけないこともあります。それは、「フェイスシートを見たことを悟られないこと」と「マイナス部分にはこちらから触れないこと」です。
人間誰しも、初対面の相手が自分に関して、話してもいない情報を知っていたら気持ちが悪くなります。フェイスシートの内容は、あくまで利用者が聞き取りを行った専門職を信用して話してくれたものです。その情報を、初対面の実習生が知っているとなると、専門職及び施設全体の不信感につながることもあるので注意が必要です。
会話のきっかけとする場合は、「私の出身地は○○ですが、あなたはどこですか?」「お仕事は何をされていたのですか?」など、こちらが引き出したい情報を相手から話してくれるような聞き方をしましょう。
また、本人が話したくないであろう内容についても注意が必要です。家族関係や経済状況が悪い場合は、利用者本人から話し出さない限りは話題にするのを避けた方がよいと言えます。相手は「高齢者」や「障害者」である前に自分と同じ「人間」です。自分に置き換えてみて、「自分だったら話したくない」と思う内容であれば、「あえて聞かない」という配慮も必要です。
実習指導者や職員に話題について相談してみましょう
フェイスシートの閲覧が難しい場合は、利用者に関して実習指導者や職員に質問してみるのも一つの手です。実習生は経験を積むために実習に来ているのですから、分からないこと・困ったことは恥ずかしがらずに相談しても問題ありません。ただし、その際は「何度かチャレンジしてみたけれど、○○さんとの会話が続かない」など、試行錯誤の末相談したことを強調しましょう。「何を話していいのか分からない」と言ってしまうと、実習生として意欲がないと捉えられてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
スーパービジョンの時間を活用して、実習指導者へ実際に話した内容を伝え、会話の改善点を指摘してもらいつつ、会話の糸口について指導してもらうのも良いでしょう。
おわりに
社会福祉士実習で初めて利用者と接するという実習生も多く、最初は戸惑うことも多いかと思います。でも、それは利用者だって同じです。
相手は自分と同じ一人の人間であることを忘れずに、「敬語」「自己紹介」「笑顔」に気を付けながら、まずは自分を知ってもらうことから会話を始めてみましょう。
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