介護職から相談員へ、理想と現実のギャップ(前編)
こんにちは、現役相談員のhuuriです。
みなさんは相談員にどんな印象をもっていますか?
・介護職の自分と違って、一日中電話したりケアマネさんと話したり、たまに施設長となんか難しそうな話ししたり。なんかわかんないけどかっこいい。
・たまにスーツとか着て会議みたいなのに行ってるし、私達とは違う世界で仕事をしているみたい
・困ったときにいつも問題解決をしていて、頼りになる
・毎日フリーで羨ましい
などなど・・・
そんなふうに思っていませんか?
相談員の仕事は”花形”に見えることもありますよね。実際介護職だった私は、上記のようなことを思い、相談員に憧れて志願しました。
私が当時相談員に憧れたのは、その時の相談員がとても頼りがいのある、かっこいい相談員だったということもあります。
上記に書いたことは、周りから見える範囲で、相談員の華やかな仕事の一部に当たると思います。でも実際は、華やかさ以上に「思ってたんと違う」ということがたくさんありました。
今回は私の経験したことをあげながら、介護職から相談員になったときに感じた”理想と現実のギャップ”について、前編と後編に分けて話していきたいと思います。
・【実務未経験者必見】社会福祉士の仕事ってこんな感じなんです。総集編(1~3巻分)
・【実務未経験者必見】社会福祉士の仕事ってこんな感じなんです。総集編(4~6巻分)
社会福祉士に興味がある方に読んでもらいたい1冊です。本HPで連載していた事例を紹介しています。施設相談員がメインの事例となっており、介護福祉士と何が違うのか、どんなことをするのかよくわかると思います。小説風に書かれているので読みやすいかと思います。
【huuriの自己紹介】
通所リハビリ施設で10年介護の仕事をしており、うち6年は相談員を兼務しています。主な仕事内容は・契約・会議出席・現場管理・稼働管理・経営です。
【ギャップ1 雑務が多い】
私が介護職をしていたときは、先輩の相談員がいました。その人は営業活動で外出をしたり、ケアマネさんとニコニコ話しをしたり、困ったことを解決して、みんなから頼りにされたりと、楽しそうに相談員をしていました。なのでその頃の私は、相談員はキラキラしている、華やかな仕事なのだと思っていました。
しかし、私が相談員になり一番はじめに行った仕事は、山のようになった倉庫の書類整理と、時間外サービス残業の年賀状作りでした。
私の憧れていた相談員の仕事は、表向きのもの。実は見えにくい仕事がたくさんあったのです。トイレのつまりを直したり、パソコンの動作に不良が生じたら原因を探ったり、他部署とのトラブル回避や、車両事故があれば自動車会社と連絡を取りながら対処に当たるなど、いわゆる”なんでも屋”に近い業務内容がいっぱい。
私はもともとパソコンには詳しくないし、トイレの構造は知らないし、車両事故についても全然わかりませんでした。なので周りの分かる人に聞きながら覚えていきます。
はじめは大変でした。しかし、地味で派手さはありませんが、この雑務のような作業は、どこの現場でも、ある程度の知識が必要なので、結果としては経験しておけてよかったと思います。
【ギャップ2 教育されず、いきなり現場】
相談員の仕事って現場からみるとちょっと特殊(契約、担当者会議、レセプトなど)だから、ちゃんと教育してもらってから独り立ちだよね?とおもっていた過去の私。甘かった。
担当者会議は2回目から、契約は3回目から、レセプトに至っては最初から、マニュアルもなく一人でやることになりました。
原因は人手不足。(働く場所の考え方やタイミングによっては、しっかり教育してもらえると思います)私が相談員として配属された時期は、何人かの職員が体調不良などで急にやめた直後でした。現場は人手が足りず、相談員も現場に入って業務を回しているところでした。
そう、相談員はフリーという名のなんでも屋。人が足らなければ現場にも入るし、やったことのない業務でも、一人でなんとかしなければならないのです。
ちなみにレセプトを一人でやることになった経緯は、先輩相談員が急遽移動になり、レセプトができる人がいなくなったので、次の月から自分がなんとか行い、わからないところは先輩に、電話で聞きながら覚えていったということです。おかげでその場での対応力はみがかれました。
【ギャップ3 ケアマネさんとの関係は案外シビア】
介護職をしている時、現場によくケアマネさんが利用者様の様子を見に来ていました。相談員が対応し、冗談なんかを交えながら楽しく談笑をしています。現場で汗水流して働いていた私は、内心「いいな、楽しく話をしていて、仕事になるのかしら。こっちは忙しいのに」と、羨ましい気持ちでいっぱいでした。
しかし、相談員になってみると、あの談笑がいかに重要か、そしてケアマネさんとの関係を作るのがどんなに大変かが、身にしみてわかりました。
実際私が6年ほど相談員を務めている中で、いつのときも8対2または7対3ほどの割合で、必ず相性の悪いケアマネさんが一定数います。
相性が悪くても、仕事として支障がないことが多いですが、ときに感情をぶつけられ、理不尽な思いをすることもあります。
あるケアマネさんからは、私の態度が気に入らないとはっきり言われ、私が電話に出ても必ず私ではない職員を指名してきます。(今でもです)感情的になられるケアマネさんで、業務に支障もきたしていたので、お互いの上司も交えて何度か話し合いもしましたが、関係が良くなることはありませんでした。そんなに悪いことした覚えはないのですが。今はそういう距離感だと認識して、お互い付かず離れずで仕事をしています。
営業職の毛色が強い相談員は、”介護”の世界観の中ではケアマネさんと対等でも、業務の内容としては「事業所を選んでもらう」という立場にあるため、ある程度の理不尽は受け止めないといけませんよね。相手の機嫌をとったり、下手に出たり、そういう処世術のようなものは、ある程度必要です。
にしても、理不尽にはやっぱり慣れることがなく、「いかにストレスを溜めないか」が重要な職種だなぁと思います。
後編へ続きます。