社会福祉士は現場実習に行かなければ通信課程を終了することがでません。(一部実務経験者は除く)テキストを使用しりスクーリングなどで学ぶことと、実際の現場で学ぶことにはギャップがることも珍しくないでしょう。
今回は、座学と現場実習ではどのような学びのギャップがあるかを取り上げてみました。
前提として座学は基本的なこと
どのような資格でもそうですが、学校で学ぶことやテキストの内容は基本的なことでしかありません。現場に出れば、座学で学んだことを基本として常に自己研鑽して学びを継続していく必要があります。
逆に言えば、しっかり座学で学習をしておかなければ現場実習に出た場合に充分な理解ができないことになるのです。
まず座学で学ばないことがある
社会福祉士の業務は多岐に渡ることはよくご存じだと思います。そのなかで、座学でまずは基本的なことについて学習をしていくのですが、現場実習に出れば、それ以外の雑務等についても学ぶことになります。
特別養護老人ホームの生活相談員の場合だと、ビジネスマナーは勿論、行事の司会進行、レクリエーション活動の計画書や報告書、洗濯物の整理整頓、切れた電気の交換、職員の相談窓口などまで実施しなくてはなりません。
例えば、「切れた電気の交換までしなくてはならないの?」と思う人もいるかもしれませんが、特養は生活の場であり、生活に密着することは介護職員以外でも行うことがあるのです。グループホームなどに行けば調理や洗濯・掃除をしないといけないケースもあるかもしれません。
教育体制の不足
座学では、教育体制について学びがあると思います。例えば、座学では施設内・外研修、新人研修、各種勉強会(委員会ごとの勉強会)、グループワーク、リーダー研修などについて現場で行われており、その目的や効果などを学ぶと思います。
職員の数にゆとりがあり、年間計画に基づいて研修を実施・参加している福祉事業所があるのは事実です。
しかし、実習でどのようなにして教育体制が整えられているかを考察したとき、充分出来ないことがあります。
その一番の理由として人手不足があります。全国的に介護職員の人手不足であることは社会的な問題になっており、日々の介護業務に追われて目の前の利用者に向き合うことで精一杯なのです。
更に、近年では新型コロナウイルスの流行により、会議や研修を中止したり、zoomなどによるオンライン研修が重要視されています。こうなると、そもそもzoomの操作方法などから学習していくことになっています。
日々の業務に追われる
福祉の仕事に携わる人は、心身共に健康でいなければならない…等座学で習い、健康管理に留意するように学びます。
しかし、現場実習では業務に追われている実習担当職員の姿を目の当たりにすることもあります。
例えば、昼食を取る時間もなかったり、深夜まで残業をすることも珍しくありません。健康管理が大切であることは理解していても、実際にはそれを実践できないこともあるのです。
質より量を求められることも…
座学では相談援助技術やコミュケーションの方法を学び、ひとり一人の利用者に向き合いながら支援をし、利用者にとって有益なものになるように学びます。しかし、現場実習ではそれだけが全てではないことを学ぶでしょう。
福祉施設であっても、上手く経営をしていかなければ倒産することだってあります。倒産すれば、そこで働く職員(スタッフ)の他に利用者にだって損害を受けることになります。
例えば、老人保健施設であれば稼働率を上げて加算を得るような努力をしなければなりません。そのためには、支援相談員が必死になって入退所の管理を行っていることを学ぶでしょう。職場内だけの人間関係だけでなく、仕事(利用者の確保)を貰えるような関係機関との人間関係を良好にする必要性を学ます。 デイサービスであっても、職員は一日の利用者数アップを目指すわけですから、利用者に対して向きあえる時間が少なくなってしまうのです。
契約制度の難しさ
介護保険法が制定されて20年以上が経過しました。それまでの大きな違いの一つとして『措置』から『契約』に切り替わったことがあり、サービスを自由に選択できるというメリットがあると言われてきました。しかし、自治体によってはサービスが整備されておらず、結局は限りあるサービスを仕方なく受けるのが現状であることを学ぶでしょう。
現場実習では、いかにして自分の法人のサービスを利用して貰えるかを考えて、家族に交渉する姿を目にするかもしれません。要するに、利益を重視するため、『営業力』の必要性を学ぶのです。
おわりに
冒頭でも触れましたが、座学は福祉の基本的なことを学ぶのです。その学びを活用して、いかに有意義な実習にするかが大切なのです。「座学ではこう習ったのに…」「現実は違って戸惑う…」このように感じるかもしれませんが、基本は基本で抑えながら、現場実習では、さらに理解を深められように取り組んで下さい。
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