エリク・ホーンブルガー・エリクソン
■人名、出身国、生没年
エリク・ホーンブルガー・エリクソン ドイツ 1902ー1994年
■実績
精神分析学者であったエリク・エリクソンは、人の精神発達を考える上で重要な理論の一つとされる心理社会的発達理論を提唱した。この理論は、ライフサイクル理論とも呼ばれているが、人が生まれてから成長していく過程を8段階の発達段階に分け、それぞれの段階において達成すべき発達課題と心理社会的危機を設定し、それらの課題をどのように解決するかあるいは解決できないかが、その後の人格形成に大きな影響を及ぼすとされている。
■人柄
ドイツのフランクフルトで生まれたエリクソンであるが、父親が誰であるかを両親から教えられず、また、ユダヤ人でありながらも北欧系の姿をしていたために差別を受けたことで、自分が一体何者であるかというアイデンティティに対する強い探究心を持つこととなった。
■エピソード
フロイトが自我の発達段階を性的にとらえたのに対して、エリクソンはそれを社会的にとらえたが、それは彼が育ってきた環境が大きく影響していると考えられる。
ドイツのフランクフルトで生まれたエリクソンは、父親が誰であるかも知らされないままに母親の再婚により養子となった。また、身長が高く、ブロンドの髪に、青い瞳を持つ、北欧人の容姿をしたユダヤ人ということで、二重の差別を受けることとなり、少尉年時代から自分が一体何者であるかについて大変悩んだ。
その後小児科医であった養父の希望に沿って、医学の学校に進学したが、画家になりたかった彼は学校をすぐに中退し、ヨーロッパを友人と放浪するようになり、ウィーンで教師をするようになったが、そこで精神分析学の創始者であるフロイトの娘であるアンナ・フロイトと出会い、精神分析を学ぶことになっていくのである。彼がウィーン精神分析研究所を卒業した年は、ヒトラーがドイツ首相になった年であり、フロイトの著書は発禁となってしまった時代である。ユダヤ人であった彼はカナダ人との結婚後、アメリカに逃れ研究を続けたのである。