社会福祉士コラム

【在宅介護体験】共倒れでは意味がない

【在宅介護体験】共倒れでは意味がない

父が脳卒中で倒れ、右半身不随となりました。身体障害者手帳が交付され会社を辞め、リハビリのためいくつかの施設を転々としましたが、金銭的なこともあり自宅に戻ってくることとなりました。

 

脳にかなり損傷を受けてしまったため、以前の父とは人格が変わってしまっており、身体だけではなく精神的にも誰かがそばにいる必要がありました。また別の施設に入るかもしれませんが、しばらくの間は自宅で過ごすことになりました。

 

母は仕事をして収入を得なければならなかったので、私が介護をすることになりました。父はリハビリのおかげもあって、杖で歩けるようになり、排泄なども自分でできる状態でしたが、失敗することもあり、一人きりにしておくことはできない状態でした。

周りの力を借りることができれば良かった

父は人格的に以前とは違っており、当然ながら「父親」としての自分を失って、わがままやひどいことを言ったりすることが、私にとっては一番の苦痛でした。いくら病気のせいだと思っても、毎日の生活の中で自分の存在価値がぐらぐらとしてしまうのは、介護する者にとって辛いことです。

 

また、私の身の回りに同じような体験をしている人が皆無だったので、愚痴を言ったり慰め合ったりする人がいなかったことも、当時は辛いことでした。現在になって、そういった人の集まりや、行政などで相談できることを知り、もっと積極的に情報を集めて利用すべきだったと今は思っています。我が家の問題なのだからと思っていましたが、自分で背負えることは小さく、周りの力をいかに借りるかを努力しなければ共倒れになってしまうと今は思います。

 

思いやる気持ちも大切

共倒れでいえば、母の苦労も相当だったと思いますが、もともと夫婦仲がよくなかったところに父が発病、闘病が始まってしまったので、当然わきあいあいとした介護など望めなかったのだと思います。普段、うまくいっていないものが、病気によって山ほどの問題を抱えてしまって、うまくいくはずがありません。母が、私に父の悪口ばかり言うことも相当つらかったです。そのときは母の身になって聞いていましたが、「そうかもしれないけど、子どもとしては聞きたくない」という発言が出るほど私も大人ではありませんでした。今思えばですが、大変なことがあればあるほど、お互いに思いやる気持ちをもたなければいけないものだと思います。

 

在宅介護のアドバイス

介護の上で一番苦労し、大変だったのは上記のような精神面です。実際、共倒れともいえるほど疲弊した時期もありました。どれもこれも今思えばですが、自分が健全でいてこと良い介護ができるのでしょうから、もっと人を頼ることや、どんな力が借りられるのかを知ることに勢力をそそぐべきだったと思います。身近なところで言えば、行政の介護保険担当課や地域包括支援センターに相談してみてください。

 

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