「えっと、具体的に教えてくれる?どうしてYさんはそう思うの?私から見たらNさんは今までと変わらないように思うんだけど。」と聞くと、Yさんは最近のNさんについて詳しく話してくれました。
「この間、出勤日じゃないのに施設に来たんです。それで、どうしたんですか?って聞いたら、『主任から今日出てくれって言われて』って言うんです。でもそんな連絡はなかったし、主任に確認したらそんなことはお願いしていないって。Nさん、おかしいなぁって言いながらそのときは帰っていったんですけど…日付けを間違ったとかならわかるんですけど、そもそもそんなお願いはしていないらしいんですよ。おかしいと思いませんか?」
確かに、普通なら考えられないことだと思いました。また、このような話もしてくれました。
「その次の日、なんかNさんおかしいなと思ってユニットでの様子をこっそり見ていたんですよ。そうしたら、5分前にトイレに行ったばかりの利用者さんをもう一度トイレに連れて行ったんです!その方は自分でトイレに行きたいと言えない人で、介護職員が時間を見て誘導する方なんです。私が思わず、『Nさん、さっきトイレ行ったんじゃなかったですか?』って声をかけたら、『そうだっけ?忘れちゃった。』って笑うんですよ。」
Yさんは、泣きそうな顔で私に話してくれました。その表情から、YさんがNさんを心から心配していることと、利用者さんの生活に影響が出ていることを案じているのがわかりました。
「確かに、それはおかしいね。Nさんの異変を感じている職員は他にもいるの?」と問うと、「多分今のところ私だけだと思います。Nさん、普通なときは普通だから…。でもあの調子じゃユニットで毎日関わっている他の職員もすぐ気付きますよ。」と答えました。
「わかった。私も気を付けてNさんの様子を見てみるね。また何かあったら教えてくれる?」そう伝え、話を終えました。