社会福祉士の実習では、実習前に「実習計画書」を作成する必要があります。
実習計画書は、単なる提出書類ではありません。
自分が実習で何を学びたいのか、どのような社会福祉士を目指しているのか、実習先でどのような経験をしたいのかを整理するための大切な書類です。
また、実習計画書は実習先の実習指導者にとっても重要です。
実習生がどのような関心を持っているのか、どのような学習課題を持って実習に来るのかが分かることで、実習プログラムの調整や指導がしやすくなります。
この記事では、社会福祉士実習における実習計画書の書き方について、項目ごとにわかりやすく解説します。
例文やNG例も紹介しますので、これから実習計画書を書く方は参考にしてください。
実習計画書とは何か
社会福祉士実習計画書とは、実習生が実習前に作成する「学びの計画書」です。
主に次のような内容を書きます。
・なぜその実習先を希望したのか
・実習で何を学びたいのか
・実習テーマは何か
・どのような経験をしたいのか
・実習を通してどのような力を身につけたいのか
実習計画書は、実習生が自分の学習課題を整理するためのものです。
同時に、実習指導者に自分の関心や目的を伝えるための資料でもあります。
そのため、「とりあえず埋める」ものではなく、実習全体の方向性を決める大切な書類だと考えましょう。
どうやって決めたらよい?社会福祉士の実習計画における目標設定。実習指導者が教える目標の立て方。
実習計画書を書く前に確認すること
実習計画書を書く前に、まず確認しておきたいことがあります。
それは、これまでに学校で作成した課題や、自分が考えてきた「目指す社会福祉士像」と矛盾していないかという点です。
例えば、事前学習で次のような課題に取り組んでいる方も多いと思います。
・社会福祉士を目指した理由
・自分が目指す社会福祉士像
・社会福祉士として身につけたい力
・実習先分野に関する事前学習
・関連する制度や法律の整理
実習計画書は、これらの内容とつながっている必要があります。
たとえば、目指す社会福祉士像として「利用者の意思を尊重できる専門職」と書いているのに、実習計画書では「施設の業務内容を知りたい」だけで終わってしまうと、内容に深まりが出ません。
その場合は、次のように考えると書きやすくなります。
「利用者の意思を尊重する支援とは、実際の現場ではどのように行われているのかを学びたい」
このように、自分の問題意識と実習先での学びを結びつけることが大切です。
実習計画書の基本構成
実習計画書の様式は、学校や養成校によって異なります。
ただし、多くの場合、次のような項目が含まれます。
・実習先を希望した理由
・実習テーマ
・実習目標
・実習の意義
・実習中に体験したい内容
・事前学習の内容
・実習に向けた自己課題
この中でも特に重要なのは、「実習先を希望した理由」「実習テーマ」「実習目標」「体験したい内容」です。
この4つに一貫性があると、読みやすく、実習指導者にも伝わりやすい計画書になります。
実習先を選んだ理由の書き方
実習先を選んだ理由では、「なぜその分野・施設・機関で学びたいのか」を書きます。
ここで大切なのは、できるだけ具体的に書くことです。
たとえば、高齢者施設を希望した場合、次のような書き方が考えられます。
例文:高齢者施設の場合
私が高齢者施設での実習を希望した理由は、高齢者が住み慣れた地域や施設の中で、その人らしく生活を続けるために、社会福祉士がどのような役割を果たしているのかを学びたいと考えたためです。
これまでの学習を通して、高齢者支援では本人の意思決定、家族支援、多職種連携、地域資源の活用が重要であることを学びました。実習では、生活相談員や介護職員、看護職員などがどのように連携し、利用者一人ひとりの生活を支えているのかを具体的に学びたいです。
例文:障害福祉分野の場合
私が障害福祉分野での実習を希望した理由は、障害のある方が地域で自分らしく生活するために、福祉サービスがどのように活用されているのかを学びたいと考えたためです。
授業では、障害者総合支援法や個別支援計画、相談支援、多職種連携について学びました。実習では、利用者本人の希望や生活課題をどのように把握し、支援計画に反映しているのかを学びたいです。
NG例
高齢者福祉に興味があるため、実習を希望しました。
利用者と関わりながら、福祉について学びたいです。
この書き方でも間違いではありません。
しかし、少し抽象的です。
「何に興味があるのか」「どのような場面を学びたいのか」「授業で学んだ内容とどうつながるのか」を加えると、より良い文章になります。
実習テーマの書き方
実習テーマは、実習全体を通して自分が深めたい問いです。
「何を学びたいか」を一言でまとめる項目と考えるとよいでしょう。
実習テーマを考えるときは、次のような形にすると書きやすくなります。
・利用者の意思決定支援について学ぶ
・多職種連携における社会福祉士の役割を学ぶ
・地域生活を支える社会資源の活用について学ぶ
・アセスメントから支援計画作成までの流れを学ぶ
・家族支援における相談援助職の役割を学ぶ
実習テーマは広すぎると、実習中に何を見ればよいのか分からなくなります。
たとえば、「障害者福祉について学ぶ」だけでは範囲が広すぎます。
その場合は、次のように絞り込みます。
「障害のある方の地域生活を支えるために、相談支援専門員やサービス管理責任者がどのように本人の希望を把握し、支援計画につなげているのかを学ぶ」
このように、対象・支援内容・専門職の役割を入れると、実習テーマが具体的になります。
実習目標の書き方
実習目標は、実習を通して到達したい状態を書く項目です。
ポイントは、「理解する」「学ぶ」だけで終わらせず、できるだけ具体的な行動や視点に落とし込むことです。
書き方の例
・利用者との関わりを通して、信頼関係を築くための基本的な姿勢を理解する。
・面談や記録、カンファレンスへの同席を通して、アセスメントの視点を学ぶ。
・多職種連携の場面を観察し、社会福祉士が果たす役割を整理する。
・制度やサービスが利用者の生活にどのようにつながっているのかを理解する。
・実習記録を通して、自分の関わり方や考え方を振り返る力を身につける。
実習目標は、1つだけでなく、複数設定しても構いません。
ただし、多すぎると焦点がぼやけます。
3つ程度に整理すると書きやすいです。
実習目標の例文
本実習では、利用者一人ひとりの生活課題や希望を把握し、支援につなげる社会福祉士の役割について学ぶことを目標とする。
特に、利用者との関わりや職員の支援場面を通して、アセスメントの視点、本人の意思を尊重した支援、多職種連携の実際について理解を深めたい。
また、日々の実習記録を通して、自分の関わり方を振り返り、社会福祉士として必要な視点を身につけたい。
実習の意義の書き方
「実習の意義」と言われると、難しく感じる方も多いと思います。
実習の意義は、簡単に言えば「なぜ自分にとってこの実習が必要なのか」です。
実習は、授業で学んだ知識を現場で確認する機会です。
また、利用者や家族、職員、地域との関わりを通して、社会福祉士に必要な姿勢や価値を学ぶ機会でもあります。
そのため、実習の意義を書くときは、次のような視点で考えるとよいでしょう。
・授業で学んだ知識を現場で確認するため
・利用者理解を深めるため
・社会福祉士の役割を具体的に学ぶため
・自分の課題を明らかにするため
・将来目指す社会福祉士像に近づくため
例文
本実習の意義は、これまで講義や演習で学んできたソーシャルワークの知識や技術を、実際の現場で具体的に理解することにある。
特に、利用者の生活課題をどのように把握し、本人の意思を尊重しながら支援につなげているのかを学ぶことは、私が目指す社会福祉士像に近づくために重要である。
また、実習を通して自分自身の関わり方や課題を振り返り、今後の学習につなげたい。
実習で体験したい内容の書き方
実習計画書では、実習中にどのような体験をしたいのかを書くこともあります。
ここでは、「何でも経験したい」と書くよりも、自分の実習テーマや目標に沿って書くことが大切です。
例えば、アセスメントを学びたい場合は、次のような体験が考えられます。
・面談への同席
・利用者との日常的な関わり
・記録の閲覧や記録作成の練習
・カンファレンスへの参加
・個別支援計画やケアプラン作成過程の見学
・関係機関との連絡調整場面の見学
例文
実習では、利用者との日常的な関わりを通して、本人の希望や生活課題を把握する視点を学びたい。
また、可能であれば面談やカンファレンスに同席し、職員がどのように情報を収集し、支援方針を検討しているのかを学びたい。
さらに、個別支援計画や記録の作成過程を学ぶことで、アセスメントから支援計画につながる流れを理解したい。
実習計画書の全体例文
以下は、実習計画書の文章例です。
例文
私が本実習先を希望した理由は、障害のある方が地域で自分らしく生活するために、福祉サービスや相談支援がどのように活用されているのかを学びたいと考えたためです。
これまでの学習では、障害者総合支援法、個別支援計画、相談支援、多職種連携について学んできました。しかし、実際の現場で本人の希望や生活課題がどのように把握され、支援につながっているのかについては、まだ十分に理解できていません。
本実習では、「本人の意思を尊重した支援は、現場でどのように実践されているのか」をテーマに学びたいと考えています。
具体的には、利用者との関わり、職員の支援場面、面談やカンファレンスへの同席を通して、アセスメントの視点や支援計画作成の流れを理解したいです。
また、実習を通して、社会福祉士に必要な基本的姿勢についても学びたいと考えています。
特に、利用者の言葉だけでなく、表情や行動、生活背景にも目を向けながら、その人の思いや課題を理解する力を身につけたいです。
本実習は、私が目指す「本人の意思を尊重し、生活全体を捉えて支援できる社会福祉士」に近づくための重要な機会であると考えています。
日々の実習記録を通して自分の関わりを振り返り、今後の学習課題を明らかにしていきたいです。
実習計画書で避けたいNG例
実習計画書を書くときには、次のような書き方は避けた方がよいでしょう。
1. 抽象的すぎる
「福祉について学びたい」
「利用者と関わりたい」
「社会福祉士の仕事を知りたい」
これだけでは、実習で何を学びたいのかが伝わりにくくなります。
2. 実習先に求めることばかりになっている
「面談に同席させてほしい」
「カンファレンスに参加したい」
「相談業務を見学したい」
体験したい内容を書くことは大切ですが、それだけでは「お願い」の文章になってしまいます。
なぜその体験が必要なのか、自分の学習課題と結びつけて書きましょう。
3. 事前学習とつながっていない
実習計画書は、これまでの学習の延長線上にあります。
授業で学んだ制度、支援技術、ソーシャルワークの価値と結びつけて書くことで、内容に深みが出ます。
4. 立派なことを書きすぎる
実習計画書では、難しい言葉を並べる必要はありません。
大切なのは、自分の問題意識を自分の言葉で書くことです。
「地域包括ケアシステムにおける多職種連携の構造的課題を検討する」など、難しい表現を使うこと自体は悪くありません。
しかし、自分が実習で本当に見たいこと、学びたいことと結びついていなければ、実習中に振り返りにくくなります。
事前訪問では実習計画書をどう使うか
実習計画書は、事前訪問でも重要な役割を果たします。
事前訪問では、実習先の実習指導者と顔合わせを行い、実習の流れや注意点を確認します。
その際、実習計画書をもとに、自分の興味関心や学びたい内容を伝えることになります。
実習先には、すでに基本的な実習プログラムが用意されていることが多いです。
実習生の希望がすべて反映されるとは限りません。
しかし、自分の学習テーマや関心を伝えておくことで、可能な範囲で見学や同席の機会を調整してもらえることがあります。
たとえば、「アセスメントの視点を学びたい」と伝えておけば、面談や記録、カンファレンスなどを見学する機会について相談しやすくなります。
実習計画書は、実習生と実習先が学習目標を共有するための資料でもあるのです。
よくある質問
実習計画書はどのくらい具体的に書けばよいですか?
実習先の分野、学びたい内容、体験したい場面が伝わる程度に具体的に書きましょう。
「高齢者福祉を学びたい」だけではなく、「高齢者本人の意思を尊重した支援が、施設生活の中でどのように行われているのかを学びたい」と書くと具体的になります。
実習先を自分で選べなかった場合はどう書けばよいですか?
実習先を自分で選べなかった場合でも、その分野で学べることを整理して書けば問題ありません。
「配属されたから」ではなく、「この実習先でどのような学びが得られるか」を考えましょう。
実習テーマが決まりません。どうすればよいですか?
まずは、自分が目指す社会福祉士像から考えてみましょう。
「どのような支援ができる社会福祉士になりたいか」を考えると、実習で学ぶべきテーマが見えてきます。
例文をそのまま使ってもよいですか?
例文は参考にして構いませんが、そのまま使うのはおすすめしません。
実習先や自分の関心に合わせて、自分の言葉で書き直しましょう。
まとめ
社会福祉士実習の実習計画書は、実習を有意義にするための大切な書類です。
書くときのポイントは、次の5つです。
・実習先を希望した理由を具体的に書く
・実習テーマを絞る
・実習目標を行動や視点に落とし込む
・体験したい内容を学習課題と結びつける
・目指す社会福祉士像と一貫させる
実習計画書は、完璧な文章を書くことが目的ではありません。
自分が実習で何を学びたいのかを整理し、実習指導者に伝えることが目的です。
実習で何を学び、自分のものにしたいのか。
その視点を大切にしながら、実習計画書を作成していきましょう。
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