そして無事に本利用が終わり、Hさんは自宅へ帰っていかれました。奥様も「お蔭さまでハワイ楽しかったです。」と笑顔でした。私はHさんの利用中の様子と共に、歩行状態の変化を奥様とMさんにお伝えしました。
Mさんからは、驚きの声がありました。「すごいですね、日常的に歩くようにすればまだまだ歩行状態を落とす段階ではないということですね。」と喜んでおられました。そして、Hさんが言っていた通り翌週からデイサービスに週三回通い始めるということでした。
その後、Hさんはショートステイにも月に一回~二回のペースで来てくれました。初めて会った頃とは別人と思えるほど明るい表情となり、定期利用するようになって友達も増えました。デイサービスでもうまくいっているようです。そして、歩行状態も格段に良くなりました。寝起きはやはり少し不安定なこともあるため職員が付き添っていますが、日中であれば自身で杖をつくことで付き添う必要がないまでに回復したのです。
奥様からは食事をあまり食べないと聞いていましたが、ショートステイで食事を残したことはありませんでした。その影響か、デイサービスとショートステイを併用するようになってから徐々にHさんはふっくらしてきました。最初はガリガリだった身体も健康的になっていったのです。
家での過ごし方は依然として変わらないようでした。奥様や娘様との関係性も大きく影響していると思われるため、その点に関してはあまり介入しないようにしていました。しかし、それ以降自宅で転倒することはないという話でした。訪問入浴の方からも、笑顔が増えたという話を聞くことができました。
私はその後退職してしまいましたが、Hさんは今もショートステイに来ているそうです。部屋にこもりきりであったあの頃と今の生活ではHさんはどちらが幸せと感じているだろう、と考える度にショートステイで見せてくれた笑顔が思い浮かびます。