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【第1回】 ボランティアさんのやる気、どう維持させる? ~総合事業スタート~

平成27年の介護保険法改正に伴い、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)というものが始まりました。これは、今後さらに増加する高齢者を医療や介護の専門職だけでなく、「地域」で一体となって支えていこうと考えるものです。

 

具体的な取り組み方は各市町村に委ねられています。そのため、自治体によってこの事業をどう展開していくかが異なります。私の現在働いている市町村では、高齢者を支える「担い手」となる方々を養成する講座を平成28年度から年2回開催することとなり、その講座に関する業務全般を私の勤める社会福祉協議会が委託されています。

 

今回お話するFさんは、その講座を受けに来た80代の男性でした。講座を受けに来た方々の中で最高齢であり、自身は現在有料老人ホームに入居しているということでした。認知症などはもちろんなく、高齢であるにもかかわらず何か人のためにできることがあればという思いで講座を受けにきているだけあり、見た目も若々しく、しゃきっとされた方でした。

 

講座は、5回の講義と介護施設等にて現場実習3日間というプログラムでした。介護技術等を学ぶというよりは、高齢者と関わる際に知っておくべき知識や認知症についての理解などを中心にカリキュラムが組まれていました。担い手となる方々はあくまでボランティアであるため、ヘルパーや介護士が行うようなことはできません。ゴミ出しや掃除など家事のちょっとしたことをお手伝いするといったイメージです。対象者の方の家へ行って活動することが多いと見込まれるため、訪問時のマナーや気を付けることなども学んでいただく必要がありました。

 

Fさんは奥様と二人暮らしをしていたそうですが、最近になって奥様に認知症の症状が出始めたため、二人で有料老人ホームへ引っ越したということでした。

講座を一度も休まずに全て出席し、現場実習も終えたFさんは晴れて新しい総合事業の「担い手」としての資格を得ました。

 

講義の最初に参加者の方にはご説明していましたが、この総合事業の「担い手」となる方の存在はまだ市民の方に広く知られていないため、支援を必要としている方がいてもその情報が社会福祉協議会にあまり入ってこないというのが当時の実情でした。市民の方にこのようなボランティアをしてくれる方がいるということを周知するには、その時点で一定数以上の「担い手」の方々を確保している必要があるため、最初の数年は講座を受けても実際に活動する先がほとんどないという状況でした。

 

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