高齢になると、1か月や2か月歩かなければすぐに歩けなくなってしまいます。Hさんの歩行状態低下は間違いなく寝たきりの生活が原因と思われました。歩行状態を低下させるような大怪我や入院歴はありませんでした。それ以外の身体的な能力低下もほとんどありません。入浴時にも自分で身体を洗うことができます。
初めてのショートステイ利用を終え、Hさんは自宅へ戻りました。利用時の様子を奥様へも伝えると、驚いた様子でした。「楽しそうにしていたんですか…、家では寝てばかりなのに。そうですか。じゃあ旅行のときも一週間と少し長めだけど、心配はありませんね。」と仰っていました。
これをきっかけに、私はケアマネMさんへ今後のショートステイの定期利用を勧めました。MさんもHさんへの今後の支援に困っていたらしく、初めてのショートステイ利用がHさんにとって良い結果であったため、定期利用も前向きに家族と相談してみると言ってくれました。また、デイサービスの利用も並行して考えていきたいということでした。
ご家族としても、デイサービスやショートステイへの利用に抵抗を示すことはないでしょう。むしろ食事の用意をしなくても良いからその方が良いと考えるかもしれません。おそらく奥様は、Hさんに対して無関心である自覚も悪意もありません。このような場合は外部サービスを積極的に利用していくことで事態が好転することがあります。
そして、それから約一か月後に本利用の日が来ました。奥様と娘様が海外旅行へ行くという期間です。
その日にお会いしたHさんは前回お会いしたときとお変わりない様子でした。奥様やMさんに話を聞くと、会っていなかった一か月間は自宅で今までと変わらない生活を送っていたようです。Mさんよりショートステイの定期利用について奥様へ話をしたところ、海外旅行が終わってから二週間に一度程度利用していこうと思うと返答があったと伺いました。Hさんご本人も承諾しているということです。