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【第2回】在宅生活不可能となり緊急入所したご夫妻 ~ショートステイに入所して~

そのような経緯で行き場所がなくなってしまい、担当ケアマネージャーよりショートステイに緊急入所させてほしいという連絡が入りました。今後は施設入所の方向で探すということでしたが、いつまた転倒してしまうかわからない歩行状態のTさんと、認知症があり一人にはできないSさん二人きりの在宅生活は危険なため、入所先が決まるまでの緊急措置ということです。

施設内の介護職、看護職へ情報を提供し、たまたま居室も空いていたためその夜からご夫妻を受け入れました。

Sさんはとても穏やかでいつもニコニコ微笑んでいる柔らかい印象の方でしたが、初めて来る施設の環境に少し戸惑っている様子で最初の数日間は落ち着かず、眠れぬ夜が続きました。Tさんは状況や経緯も理解しているので戸惑いはないようでしたが、人に頼ることが性に合わないようで、かなり不安定な歩行状態であるにもかかわらず介護士の手を借りようとはしませんでした。こちらが気付いて手を貸そうとしたときに拒否するほどではありませんでしたが、夜中にトイレへ起きようとしたときにナースコールで呼んでくれることは一度もありませんでした。

二人のショートステイは2か月に及びました。本来ショートステイとは、短期入所生活介護という名称の通り30日以上の連続利用は出来ないことになっています。しかし、A夫妻のような状況の場合にはやむを得ずその期間を超えて利用しなければなりません。SさんはTさんがいないと不安になってしまう傾向にあり、Tさんも認知症のあるSさんを心配する気持ちから離れて暮らすことは望んでいませんでした。そのため、二人揃って入所できるところを探さなければなりません。担当ケアマネージャーもあちこちを当たっていたようですが、なかなか行き先が見つかりませんでした。収入が特別多いわけでもなかったので、選択できる施設の幅も限られていました。

そんな最中、Tさんが居室で転倒してしまいました。大きな怪我はしませんでしたが、尻餅をつく格好で転んだためにその日から腰の痛みに悩むようになりました。Tさんはあまり動かなくなり、トイレへ行く際も自ら介護士の手を借りるようになりました。夫婦だけでの在宅生活はますます厳しいと言わざるを得ない状態でした。

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