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【第6回】在宅生活不可能となり緊急入所したご夫妻 ~夫婦の生活を今後どうしていくか~

私は同じ敷地内にあるグループホームとケアハウスを当たってみることにしました。私の勤務先は複合施設であり、同じ敷地内に特養・ショートステイ・グループホーム・ケアハウス・デイサービスを併設していました。そして、グループホームとケアハウスに1部屋ずつ空きそうな居室があるという返答がありました。A夫妻の話をしたところ、入所の方向で進められそうな手応えがありました。

同じ施設に入所することがご夫妻の希望でしたが、Sさんの認知症はショートステイに入所してからますます進行しているようでした。急激に環境が変化したことが原因と思われました。そのため、家庭的な雰囲気の中でより専門的なケアを受けられるグループホームが良いのではという思いがありました。一方でTさんは、身体介護が少し必要ですが頭がしっかりしているので比較的元気な方が多いケアハウスなら馴染めるだろうと思いました。

 「二人は生活の中に互いの存在を感じることが出来ればきっと大丈夫だろう。ショートステイでも四六時中一緒にいるわけではないし、うちのケアハウスとグループホームなら渡り廊下で繋がっているから会いたいときにすぐ会える。」そう考えました。

お互いの部屋を行き来しても良いし、希望があれば食事を共にすることもできます。私はケアマネージャーにそのような方向で考えてみるのはどうかと話しました。夫婦部屋に限って施設探しをしていたケアマネージャーは私の出した選択肢に少し驚いたようでしたが、「そのような環境であれば無理して同じ施設でなくてもその方が良いかもしれませんね。」と前向きな返事をくれました。

 そして、ショートステイ利用中にケアハウスとグループホームのどちらも見学に行きました。TさんとSさんは、それぞれ違う施設に入るの?と最初は戸惑っていましたが、実際に見に行ってみるとそのような不安はなくなったようでした。「こんなに近いんだったらいつでも顔が見られるね。同じ施設みたいなものじゃない。」Tさんはこれで入所できるならなんの問題もないと嬉しそうでした。

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