社会福祉士は、様々な理由で生活の中に困難を抱えている相談者やその家族をサポートすることが主な仕事です。この資格は国家資格なので信用度が高く、相談者も安心して相談できます。
この社会福祉士の資格を取るには国家試験に合格する必要があります。
そこで今回は、第34回社会福祉士国家試験のポイントとしまして、これまでの試験で出題された問題から出題傾向を分析し、最新の法改正にも注目した形で、解説していきます。
この記事の内容だけで社会福祉士の試験に必ず合格できるという内容ではないので、今回の記事を参考にしながら勉強を進めて頂ければと思います。
社会・精神保健福祉士【共通】から出題ポイントを解説
まずは共通科目の中からいくつか出題ポイントを解説していきます。
しっかりとポイント押さえて理解し暗記することで、試験に出た時にすぐに回答できるように備えましょう。
心理学理論と心理的支援
ここでは長期記憶の種類について解説します。
ここ数年の国家試験の傾向として問題文が短いことが多いため、これくらいの大きさの図表から出る傾向が高いです。
試験の問題文は短くシンプルになる傾向が高いですが、その分色々な角度から問題が出題されます。
例)
・エピソード記憶とはどれですか?
・長期記憶の中で加齢の影響があるのはどれですか?
・自転車の乗り方を例に上げられる記憶はどの種類ですか?
このように同じ図表からでも、様々な角度から問題が出題されますのでしっかりと押さえておきましょう。
社会保障
ここでは「社会保障関係費」と「社会保障給付費」の違いについて解説していきます。
この項目は実務に関わりが少ないため苦手意識を持つ方が多いので、しっかりと押さえていきましょう。
ここで注目したいのは、「覚えたい数値」の年代が異なっている点です。ここにこの2つの費用の大きな違いがあります。
社会保障関係費は、年度始めにその年の予算が組まれるので、途中で変動することもあります。
社会保障給付費は、すでに給付された費用の総額で、その年度が終わってから集計されます。
各費用の説明文や財源を問われても答えられるようにしっかりと覚えましょう。
低所得者に対する支援と生活保護制度
ここでは最新の法改正にも対応するため「生活保護法」令和2年8月の改正により創設された「被保護者健康管理支援事業」について解説します。
- 被保護者健康管理支援事業(生活保護法第55条の8)
・目的(なぜ創設されたの?):被保護者の中には健康上の課題を抱えている方が多く、医療と生活の両面から健康管理に対する支援を行うため。
・内容:(何をするの?):被保護者への情報提供、保健指導、医療受診の推奨など。
・実施主体(誰がするの?):保護の実施機関。令和3年1月から福祉事務所の必須事業になる。
想定される問題としては、実施主体が「保健所」という内容でひっかけ問題が出題される可能性があるため、しっかりと実施主体は「保護の実施機関」と答えられるようにしましょう。
社会福祉士【専門】から出題ポイントを解説
続いては、専門科目からいくつか出題ポイントを紹介していきます。
苦手分野としている方が多いのでしっかりと勉強していきましょう。
更生保護制度
こちらの項目は専門科目の苦手筆頭分野なので、ここをしっかりと取ることで他の受験者との差をつけることができるとも考えられます。
ここでは「更生保護施設」と「自立準備ホーム」の違いについて、考えられるひっかけ問題をご紹介します。
特に覚えたいポイントは、「更生保護施設」は法務大臣の認可が必要だが、「自立準備ホーム」は法務大臣の認可が不要だという点です。
さらに、これらの施設の対象が「保護観察中の者」や「刑期を終えた者」であることです。ひっかけ問題として、「保護観察中の者だけが対象」と記載されている場合は間違いだと気づけるようにしましょう。
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
社会福祉士の専門科目の最新の法改正に伴う出題ポイントとしては、令和3年4月に改正された「母子保険法」に創設された「産後ケア事業」についてです。
- 産後ケア事業(母子保険法第17条の2)
・対象:産後ケアを必要とする生後1年を経過しない女子及び乳児
・実施内容:出産後1年を経過しない女子及び乳児の心身の状態に応じ、①保健指導②療養に伴う世話、又は③育児に関する指導、相談その他の援助
つまり、赤ちゃんを産んで1年以内のお母さんと赤ちゃんの心身の状態に応じて、指導をしたり、相談を受けたりすることを「産後ケア事業」と言います。
・実施主体:市町村
・事業の実施について:努力義務
→令和3年4月の改正に伴い、これまでは「任意」だったのが「努力義務」になり、より優先順位を上げて取り組むように法律の縛りが強くなったことが大きな変更点です。
・実施方法:①産後ケアセンター(病院、助産所などで産後ケア事業を行う場所)への短期入所、②産後ケアセンター等への通所、③女子及び乳児の居宅への訪問
実施方法は、短期入所と通所の2パターンというひっかけ問題には、居宅への訪問もあると指摘できるようにしておきましょう。
・他機関との連携:母子健康包括支援センターやその他の関係機関と連携を行い、一体的な支援の実施に努めなければならない。
この項目には「母子健康包括支援センター」と明記されていることから、出題ポイントとして押さえておくべきと言えます。
まとめ
今回は「第34回社会福祉士国家試験のポイント」として、過去の出題傾向や最新の法改正を考慮し、出題ポイントを解説させて頂きました。
テキストを見ながら勉強する際には、ただ丸暗記をするだけでなく、自分が出題者になったつもりで「この図表からどんな問題が作れるか?」と考えてみることをおすすめします。
ぜひ社会福祉士の国家試験の合格を勝ち取ってください。