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介護事例連載【第7回】Iさんの夢 ~夢~

time 2019/08/03

介護事例連載【第7回】Iさんの夢 ~夢~

病気や認知症になっても住み慣れた地域で末永く生活できる社会基盤を整えるよう、官民、地域住民が連携すべしとの方針が高らかに掲げられており、個人的にもそうあるべきだと思います。

 

しかし、警察や消防以外の行政機関は土日休みで平日は17時にはほぼ閉まりますし、介護事業者も無尽蔵に人を動かせる状況にありません。地域住民に至っては当然その人達の生活がありますし、時間に余裕のある人達はそれなりの歳になっており、義務ではないことに全力で傾倒できる人がどれだけいるのだろうかという問題もあります。

 

グループホームをはじめとする入居系サービスにおいて、一昔前は看取りというと随分大変なことというイメージがありました。しかし、それに対する加算(報酬)が法定され、重度や死期の近い入居者の対応をするのが当たり前になりつつあります。

 

一方、実現できるかはさておき、最期を迎えたい場所自宅という意見が多数を占めます。しかし、その実現にはご家族、医療、介護の関係者が強力なタッグを組み、対応できる体制を整える必要があります。特にご家族については本人の最期を受け入れ、何かあった時に動ける覚悟が求められます。

 

そう言うのは簡単ですが、Iさんのように全ての条件を満たせるケースはあまり多くありません。何か一つでも条件が合わなければ、自宅での看取りは実現できなかったことでしょう。

 

ある日、ディスカウントスーパーの袋に大量の食材を乗せて原付で走っている娘さんを見かけました。手を振るとわざわざ原付を停めてこちらに来てくれました。何と、調理師の免許をとって小料理屋を始めたそうです。ついついペースに巻き込まれてしまい、数日後にスタッフらを連れて来店することになりました。

 

お店の名前は「〇〇ちゃん(Iさんの名前)」

 

数人分のカウンターとテーブル席が2席だけのこじんまりとしたお店でしたが、随所に手芸作品やドライフラワー等、レジの横にはIさんと娘さんの笑顔の写真。親子の想いが詰まった空間に思わず涙するスタッフもいました。

 

メニューは酒のつまみ的なものからガッツリ系の物まで、意外に広くカバーされていました。各々が好きな物を注文すると、娘さんは話をしながらもテキパキと料理を仕上げていきます。

 

お味はディスカウントスーパーの安価な食材がここまで美味くなるのかと思うほど本格的なもので、ガヤガヤ騒いでいたスタッフたちが一斉に静かになり、料理を頬張っていました。

 

一緒に叶えることができなかった夢ですが、今までの作品に囲まれ、娘さんが受け継いだ味で皆が満足している。Iさんもきっと喜んでいることでしょう。

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