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介護事例連載【第6回】Iさんの夢 ~看取り~

time 2019/08/02

介護事例連載【第6回】Iさんの夢 ~看取り~

「そろそろかな…」

 

そうこうしているうちに主治医と看護師が動きました。見立て通り、脈がなくなっていました。瞳孔の観察などの一連のチェックを終えると、看護師が「お着替えしましょうか」とIさんに話しかけます。

 

頬に一筋の涙がつたっていましたが、満たされた表情で娘さんもIさんに話しかけます。「お母ちゃん、納得したかな。みんなの声を聞いて、家の天井を見て、これ以上の贅沢はないよ」

 

看護師がテキパキと清拭や着替えを行い、簡単に化粧を施しました。前々から通夜葬儀は自宅で執り行うことを決めていたようで、娘さんは友達に電話をするように葬儀社に電話を入れています。

 

どのタイミングで失礼すべきか迷いましたが、それぞれの職分を終えると緊張が緩んだ雰囲気になったため、挨拶をしてIさんの自宅を出ました。

「至れり尽くせり、本当にありがとう。お通夜は明日の夜、お葬式はあさってだってさ。無理ならいいけど、来れそうなら来てあげてね〜」と食事にでも誘うようなノリで見送ってくれました。

 

自宅での通夜ということで、あまり大人数で押しかけるのはどうか判断に迷いました。そうしたところで娘さんはどうこう言わないとは思いましたが、やはり気が引けます。

 

何だかんだで全員が行きたいと言い出し、結果的に私以外にもう一人、参列希望者の中からジャンケンで決めることにしました。会社の経費で出せるのは弔電とお花だけと決まっていたため、加えてスタッフの寄せ書きをお供えすることになりました。

 

仕事を終えてIさんの自宅に行くと、葬儀社も知り合いか何かのようで、それ以外の参列者は親戚と思しき高齢の夫婦のみ。皆でIさんの傍でおやつを食べながらまったり過ごしていました。

頭数だけで言うと非常に寂しい場ですが、アットホームというべきか、良い意味でゆるい場になっていました。「あら、来てくれたの!?ちょっとお寿司とるわ」

 

言うや否や、私たちが断る間もなく宅配寿司屋にオーダーを入れます。わざわざ足を運んでくれたこと、夜なのでお腹がすいているだろうとのことでしたが、親戚の家に遊びに来たようなもてなしにただただ恐縮してしまいました。

 

お通夜が終わり、お坊さんと入れ違いで寿司屋のお兄さんが到着し、明らかに人数に見合わない大きな寿司桶が届きました。立場的なものもあって最初はお断りしていましたが、私自身があまりにもお腹がすいていたこともあり、Iさん、娘さんとの信頼関係の賜物であるという大義名分の下、参列したスタッフも含めて皆でそれを頂くことにしました。

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