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介護事例連載【第2回】Iさんの夢 ~Iさんと娘さん~

time 2019/07/31

介護事例連載【第2回】Iさんの夢 ~Iさんと娘さん~

Iさんは訳あって若くしてご主人と離婚し、娘さんを女手一つで育ててきました。典型的な肝っ玉母ちゃんだったようで、娘さんもそれを引き継いでいるのがよく分かりました。

 

Iさんの趣味、得技は料理と手芸、ドライフラワーと非常に多彩で、娘さんも小さい頃から自然にそれらを身に付け、一緒に取り組んできたそうです。

 

娘さんも一度は嫁いだものの同様に離婚し、Iさんの住む実家に戻ってきました。当時離婚するというのはそれなりに勇気のいることで、近所の目なども厳しかったようですが、大量の荷物を抱えて戻ってきた娘さんにIさんは「おかえり、大変だったね」とだけ声をかけたそうです。

 

そんなわけでIさんと娘さんの生活が再開され、二人の強い絆が育まれていったのです。かと言って相互依存のようなベタベタとした関係でもなく、適度な距離感を保ちながらも互いに尊敬し合える仲なんだと娘さんは誇らしげに話しました。

 

本気なのか単なる夢なのか分かりませんが、Iさんはよく「元気なうちにあんたと一緒にお店を開いて、お店には作品を置いて、自慢の手料理を皆に食べてもらいたい」と話していたそうです。今のIさんにその話題を持ちかけてもニコニコしているだけで目立ったリアクションはありませんが、娘さんは今でも心の片隅にその言葉が残っているようで、今の仕事は店を始めるための準備でやっていると話していました。

 

そのような経緯もあり、病気で止むを得なかったとは言え、娘さんにとってIさんを入居させるというのは相当な決断でした。入居後しばらくは心身が楽になるどころか罪悪感に苛まれ、余計に体調が悪くなってしまったそうです。

 

しかし「早く元気になって、お母ちゃんと暮らす」これが原動力になり、娘さんは無事に病に打ち勝ちました。厳しいリハビリにも耐え、体調も以前と変わらないぐらいまで回復しました。

 

しかし、反比例するようにIさんの心身状態は低下し、対応に苦慮するような行動はなくなったものの、ほぼ寝たきりの状態になっていました。

 

「よく言えば大人しくなってみんな助かったんだけどね。話しかけてもニコニコしてるだけで、これじゃあぬいぐるみと一緒だなと思った。ダメだ、連れて帰るなら今しかないってね」

 

施設側もなぜ敢えて大変な道を選ぶのか驚きを隠せず、「本当に大丈夫ですか」と何度も尋ねましたが、娘さんはやると決めたら絶対に引かないことを分かっていたので、しんどかったらいつでも戻って来るように伝え、退所に至ったそうです。

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