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介護事例連載【第7回】住み慣れた家と認知症のGさん ~新しく、便利であればよいのか~

time 2019/05/10

介護事例連載【第7回】住み慣れた家と認知症のGさん ~新しく、便利であればよいのか~

一昔前に比べると高齢者に配慮した建築等の技術は格段に進歩しており、お金さえ出せば老若男女を問わず不便なく生活できる環境を手に入れられるようになりました。

 

梁や大きめの家具などを活かし、従来のコンセプトを残したままでのリフォームなども珍しくなくなり、環境変化への配慮もなされるようになってきています。

 

その応用で、入居等の際は敢えて使い慣れた家具を持って来てもらえるようお願いすることが多くあります。意図は十分に理解できますし、せめて身の回りの物品だけでも馴染みがあれば心の安らぎに繋がることでしょう。

 

しかし、状況を理解できるのであれば問題ありませんが、そうでない場合はかえって混乱を招くこともあるようです。Gさんのように、あるはずのない場所にあるはずのない物があるという風に感じてしまうことも有り得るのです。

 

築年数が古く、段差だらけで現在は使われないような道具に囲まれた、不便だけれども趣のある家。それこそがGさんが暮らし、思い出を作り上げてきた家でした。

 

確かに高齢者が一人で住むには危険で不自由な場所も多く、そこでの生活の中で転倒、骨折してしまったのも事実です。

 

ご家族や周囲の人にしてみれば、一人寂しく危ない場所で住んでいるのはどうかとなるのは当然のことでしょう。しかし、Gさんにとっては「そこで生活している」こと自体に意味があったのではないかという気がしました。

 

ご家族が良かれと思って(本音は分かりませんが)実行した住宅改修と同居が、Gさんの居場所を失わせてしまったようです。状態悪化の原因が必ずしも改築にあったとは言い切れませんが、何らかの一因になったであろうことは否定できません。結局のところ、周囲がどれだけサポートできるかが肝心であり、そこが欠けるとどれだけ立派な環境を整えても「仏作って魂入れず」になってしまうのです。

 

一般的な感覚で良いと思われることが、高齢者、特に認知症の方にとっても必ずしも良いとは限りません。特に住まいというのはそこが立派であるとか古い、汚いといったことは関係なく、匂い、空気、音を含めた全てが本人を作り上げてきた空間となります。長らくそこで暮らしてきたのであれば尚更のことです。

 

私は異動の多い法人に勤めており、その後グループホームの配属になりました。人より一歩も二歩も後ろで、温かく皆を見守る。困っている入居者に声をかけ、共に悩む心優しい女性。「本当のGさん」と、再会を果たしました。

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