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介護事例連載【第4回】住み慣れた家と認知症のGさん ~何ということでしょう~

time 2019/05/08

介護事例連載【第4回】住み慣れた家と認知症のGさん ~何ということでしょう~

Gさんの新居が完成します。外観は何となく分かっており、確かに凄そうとは感じていましたが、最初に訪問したスタッフの報告は「とにかくヤバい、スゴい」というシンプルかつ薄っぺらいものでした。

 

もっと社会人らしいまともな感性をもてないものかと思いながら、私も初めて訪問します。確かに、とにかくヤバく、スゴいことになっていました。

 

母屋に離れ、土間、かまど、トイレの朝顔(男性用の小便器)等々。Gさんが暮らしていた昔ながらの居場所やアイテムは一掃され、そこはまるで高級な和風旅館でした。某リフォームのテレビ番組であれば確実に「何ということでしょう!」とナレーションが入るレベルに変貌を遂げていました。

 

普段は不愛想なお嫁さんが嬉しそうに家の中を案内してくれました。改築に数千万かかったこと、高級な木材を使っていること、平屋建てで全てバリアフリー設計になっていること、中庭の日本庭園が見どころ等と誇らしげに聞かせてくれました。

 

いつもは仏頂面の息子さんはリビングの高級そうな椅子に座ってドヤ顔で本を読んでいましたが、途中からニコニコしながら新居の内覧会に参加します。傍らでわざとらしく勉強しているお孫さんを指さし、家が新しくなってから今まで以上に勉強を頑張るようになった等、私にとってはどうでもよい情報も教えてくれました。

 

肝心のGさんの部屋はリビングから少し離れた部屋にありました。木の良い香りがするオシャレな引き戸をノックし、中に入ります。Gさんは不安そうに室内をウロウロしており、姑さんの顔を見るなり「すいません、何も分からなくて…」と狼狽していました。

 

「せっかく過ごしやすくなったのに、ずっとこの態度!わざわざお義母さんのためにやったんですけどね!」と吐き捨ててどこかに行ってしまいました。家中に恩着せがましさが渦巻いており、うがった見方をするとFさんの介護に便乗した自己満足ではないかとも捉えられました。

 

Gさんに話しかけると、「ここがどこか分からなくて、皆さんに迷惑ばかりかけて…もうどうしてよいのか」同じようなことばかり話します。元々あった自宅の掛け時計やテーブル、ご主人の仏壇などは配慮としてそのままGさんの部屋に置かれていましたが、本人にとってそれらがどこからかワープしてきたような感覚になっているようです。「これは仏様、お父さんが買った時計とテーブル…誰が運んできたのか…ここに置いていていいのか…どうしてこんなことに…」

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