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介護事例連載【第3回】住み慣れた家と認知症のGさん ~お父さん、ごめんなさい~

time 2019/05/08

介護事例連載【第3回】住み慣れた家と認知症のGさん ~お父さん、ごめんなさい~

私たちの見立てでは、Gさんは改築のことをあまり理解できていませんでした。宿泊に至った経緯も記憶しているのかどうかあやふやな様子でしたが、何となく家族から疎まれ、家を追い出されたような気持になっていたようです。

 

Gさんはそれほど手のかかる利用者ではありませんでしたが、度々不安を訴えるようになり、宿泊室で一人きりになってシクシク泣いている姿を見せるようになりました。

 

「息子さんたちが家を住み良くして一緒に住んでくれるらしいので、あと少しの辛抱ですよ」的なことを伝えると、その時は息子たちには本当に感謝しているという風に応えますが、Gさんの心のわだかまりが解消できていないのは明らかでした。

 

家に帰りたいとフロアをウロウロしている利用者に「あなたの帰る家は必ずありますから、きっと大丈夫ですよ」と声をかけていたGさんが、逆に他の利用者から慰められるようになりました。お嫁さんにもその旨を伝えますが、どうしても改築を非難されたと捉えてしまうようで(実際そうなのですが…)、毎回「お義母さんのためにやってるのに、何を言ってるのかしら!どうして分かってもらえないんでしょうね!」と言われる始末でした。

 

ある週末の帰宅後、話を聞いてほしいとお嫁さんからお呼びがかかります。帰宅中にGさんを連れて改築中の自宅を見に行ったそうなのですが、「お父さんの家…どうして…お父さん、お父さん、ゴメンなさい…」と何度も手を合わせ、ひっそり涙を流していたそうです。

 

いつも以上に熱の入った恒例の「お義母さんのためにやってるのに!」が始まりました。せっかく家族一丸となって新しいアクションを起こそうとしている矢先、肝心の本人が落ち込んでいるのはあまり気分の良いものではないでしょう。お嫁さんの言い分も間違っていないのですが、何とも表現しがたい気持ちになりました。

 

それもそのはず、改築後の同棲を理解できていないGさんにとっては、目の前で自宅が破壊(改築途中)されている様を目の当たりにしたのと同じだったのでしょう。その場でご家族が十分な説明をしていたのかどうか確かめる術はありませんでしたが、普段の関係性を見ている限り、どのような状況だったかを察するに十分でした。

 

別件でGさんの自宅近くを通ると、以前のお屋敷とは全く別の、誰が見てもオシャレと言うであろう広大かつモダンな建物が完成しかけていました。現場の前では息子さん家族がご近所さんと思しき人と嬉しそうに立ち話をしています。「お義母さんが住み良くなるために建て替えたの!私たちが面倒を見るのよ!」とでも言っていたのでしょう。

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