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【第7回】プライドの高い元お嬢様のBさん ~美香さんの元へ~

time 2019/03/09

【第7回】プライドの高い元お嬢様のBさん ~美香さんの元へ~

病院に向かった美香さんから連絡が入りました。原因は特定できないものの、一過性の心筋梗塞の可能性が高く、今は昏睡状態。あと少し発見が遅ければ、最悪の事態になっていたと。美香さんは声が震えていましたが、努めて冷静に話そうとしており、何度もすいません・有難うと繰り返していました。

 

その後、病院にお見舞いと状況伺いを兼ねて訪問しました。Bさんは沢山の機械に囲まれ、ぐったりしていました。私の顔を覚えてくれていたようで、見るなり目じりにすっと涙を流しました。何も言いませんでしたが、首を横に振っていました。

 

私の勝手な推測に過ぎませんが、「こんな姿を見ないで、早く帰って」と言われた気がしたので、「へこたれて場合じゃないぞ、しっかりな」と握手をして退室することにしました。とても温かく、力強い握手でした。Bさんは絶対に戻ってくる。根拠もなくそう思いました。

 

しばらく経ったある日、美香さんより話がしたいと連絡があり、時間を設けることになりました。

 

危機的な状態は脱し、急性期治療は終えたものの経過は横ばいで、それほど先は長くない。自宅での生活など到底無理な話で、施設に入居するか転院するかを選択するよう医師に言われた。かなり久しぶりに母と顔を合わせ、またガミガミ言われるんだろうなと思っていたが、そんな元気もなくなったようで、昔の母に戻っていた。

 

さすがに自宅で看るのは無理だが、退院後は私の家の近くの施設に入居させることにした。今さらと思われるだろうけど、ちょくちょく顔を見に行こうと思って。今日はそのお礼とお詫び。

 

そう話し、美香さんはアフロの男性が描かれたカラフルでポップな包み紙の菓子折りを置いて帰りました。

 

退院後Bさんは遠くに行ってしまい会うことは叶いませんでしたが、定期的に美香さんとメールでやりとりを続けました。

 

Bさんへの対応は小規模多機能ホーム・介護スタッフとして正しいのかと問われると疑問があります。中には違和感や怒りを覚える方もいるかもしれません。

 

しかし、自分たちの心に残っているケースは?と聞くと、手のかかる生徒ほど先生の印象に残っているのと同じような感覚なのか、ほとんどがBさんの名を挙げます。

 

認知症への恐怖や葛藤を隠し、そしてある時はリアルにさらけ出し、お嬢様として振る舞い続けたBさん。

 

事業所の特性を活かして臨機応変(行き当たりばったり?)に対応し、サポートし続けたことで、チームワークや利用者に寄り添うことの重要性も学ぶことができたのです。

 

ある日、美香さんからのメールの一文に目が止まりました。

 

「何とか車椅子に座っていられるようになり、施設の行事で回転寿司屋に行ったようです。家族でしょっちゅう食べに行っていたので、それを思い出したのか、とても喜んでいたと報告を受けました」

 

Bさん、やっぱり常連だったんだな。

 

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