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【第3回】妻のネグレクトにより寝たきり状態であったHさん ~初めてのショートステイ~

time 2017/06/04

【第3回】妻のネグレクトにより寝たきり状態であったHさん ~初めてのショートステイ~

そして、Hさんの初利用の日が来ました。初回のため一泊二日のみの利用です。時間通りにお迎えにあがり、施設に到着しました。Hさんのために用意した居室へ案内し、介護職員に任せて私はその場を離れました。

担当介護職員へは、Hさんのこれまでの生活状況や家族の様子などを事細かく伝えてあります。自宅では自分でトイレに行っているが、歩行状態はかなり不安定で転倒も何度かしている様子であることから、必ず付き添いをするよう指示を出しました。また、ショートステイではそれぞれの利用者に個室を用意していましたが、基本的に食事は食堂で他利用者と共に食べます。しかしHさんの普段の生活を考えると居室での食事を希望するかもしれないので、本人の意向に沿いながら無理のないように食事の声かけをと伝えました。

 

その日、Hさんが施設内で食べる初めての食事である昼食の時間に私も食堂を訪れました。すると、まだ配膳前でしたがすでに食堂にはHさんの姿がありました。介護職員に聞くと、声をかけたらすんなりいらしてくれたということでした。「本人の希望ではなく、奥さんの都合でベッド上の生活になっているだけなのかもしれない。」と思いました。あとで確認したところ、Hさんは食事もきちんと残さず召し上がったということでした。

 

また、トイレへの付き添いにも抵抗を示す様子はありませんでした。食事を終えたあともすぐに部屋へ戻ってしまうことはなく、他の利用者と共に食堂に座ってテレビを見て過ごしていました。

面接の際、家では全くテレビを見ないと言っていました。日中は寝ているだけです、と。しかしそもそも家でのHさんの部屋にはテレビがないのです。部屋にこもっていればテレビを見る機会はありません。本当に日中は寝ているのかどうかも、定かではありません。奥様もその様子を見ていないのですから。

 

「話しかけても返事があったりなかったり…。ずっと寝ているばかりだし、生きているのか死んでいるのかもわからないような感じなんですよ。人間らしくないというか…。」

面接中にHさんがトイレへ立ち席をはずしたときに、奥様はこんなことを言っていました。しかし、ショートステイを利用中は全くそんな様子はありませんでした。確かにHさんは自分から積極的に話しかけたり、大きな声を出して自己主張をすることはありません。しかし、話しかけても返事がないことはありませんでした。きちんと目を見て、しっかり質問に答えてくれます。日中も寝ているばかりではなく周りの利用者と同じ空間で過ごし、それを苦痛に感じている様子もありませんでした。

 

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