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【第6回】仕事が生き甲斐だった元国家公務員のAさん ~A さん登庁する~

time 2019/03/01

【第6回】仕事が生き甲斐だった元国家公務員のAさん ~A さん登庁する~

Aさんは身の回りのほとんどのことに介助が必要になっており、車椅子に乗って帰ってきました。

 

少しスリムになったものの仕事節は健在で、以前のAさんに戻っています。とことん仕事人なんだなと感心させられたのと同時に、安心した自分がいました。

 

入院前はハゲ隠しのバーコードセットを自分でしていたのですが、それもスタッフが行うことになりました。「もう髪の毛なんてどうでもいいので、戒めも込めて丸坊主にしてやって下さい」と奥さんも冗談を言えるまでに元気になっていました。

 

そんなAさんを見ていると、「庁に連れて行ってあげたい」そんな思いが私と上司の間ではありました。しかし、昔の部下と会ったらどうするのか・余計な混乱を招くのではないか等、不安要素は沢山ありました。しかし、日に日にその思いは強くなっていきました。自分たちだけであれこれ考えても仕方ないということで、奥さんにその旨を伝えます。

 

奥さんは反対するどころか、迷惑でなければ是非連れてやってほしいとの返答。「大学を卒業してから、ずっと仕事一本でした。結婚後に子どもができなかったこともあって本当に仕事バカで、自分の家よりも思い入れがあると思う。いつもお父さんの仕事ごっこに付き合ってもらって本当に申し訳なくて・・・」と言いながらもどこか嬉しそうな、昔を懐かしむような表情でした。

 

当日は奥さんに現役時代のスーツを用意してもらい、上司も同行して登庁することになりました。普通に考えればいきなり「登庁しましょう」と言われれば困惑するものですが、「燕尾服じゃなくても失礼にならないか?」とAさんは何の抵抗も示しません。それどころか拙い手つきながらもしっかりとネクタイを結び、登庁に備えるのです。

 

庁は手続き等で一般人も普通に出入りできるため、特にアポをとることなく入館します。

 

Aさんは、新卒でドキドキしながらも胸を張って通ったこと・色々なトラブルに巻き込まれて徹夜で対応したこと等、昨日のことのよう振り返ります。

 

中の食堂で昼食をとることにしました。ここのお勧めは?と問うと、「どれも大してうまくないが、強いて言えば親子丼かな。ダシがよく効いている」と得意顔で答えます。介助が必要でしたが、しっかりとそれを平らげます。

 

一般の来庁者が移動できる範囲は限られています。あちこち行きたがるのではないかと懸念していましたが、A さんは落ち着いていました。

 

そろそろ退館かなと思った時、「長らく世話になり名残惜しかったけど、やることはやり切った。またこうやってここに来られて本当に感無量だ。もう思い残すことはない」とAさん。

 

今での頓珍漢なやりとりは芝居だったのではないかと思うほど、しっかりとした口調・表情なのです。思わず上司と顔を見合わせました。「では今日はこれぐらいで失礼しましょう」と答えるのが精一杯でした。

 

 

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