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【第4回】仕事が生き甲斐だった元国家公務員のAさん ~ついに入院~

time 2019/02/27

【第4回】仕事が生き甲斐だった元国家公務員のAさん ~ついに入院~

奥さんの付き添いの元、上司が社用車でAさんを病院まで連れて行くことになりました。私はまだこういった事態に首をつっこめる立場にありませんでしたが、上司に同行させてほしいと頼みました。日頃の関係性を知ってか、了承を得られました。「辛い場面に立ち会う覚悟があるなら」との条件付きで。

 

思考が機能していないのか、状況を察したのか、「病院で診てもらいましょう」との声かけにA さんは黙って車に乗り、ぼんやりと外を眺めていました。同乗の奥さんは「すいません…すいません…」とすすり泣き、何とも気まずい空間です。

 

目的地まではホームから40~50分程度で、入居の面談でよく足を運ぶ病院です。ドライブがてら雑談しているといつもはあっという間に到着するのですが、この日ほど病院を遠く、時間を長く感じたことはありませんでした。

 

病院の看板が見えます。「こんなに遠くて時間がかかると思わなかった。毎日通えるかしら…」と奥さんが口を開きます。土地勘がないらしいことを差し引いても、私と同じような気持ちで車に乗っていたのかもしれません。

 

いつも通りのエスコートに、A さんは少し足をふらつかせながら私の腕を掴んで静かについて来ます。椅子がたくさん並んだロビーに案内され、そこで奥さんと上司が医師・看護師と神妙な面持ちで立ち話をしています。奥さんが何かの書類にサインをしており、Aさんと私は少し離れた場所からそれを見ていました。

 

「ではこちらへ」と冷たい口調で早足の看護師に言われるがまま、廊下を歩きます。単に足がふらついているのか、不安なのか、私を信頼してくれているのか、A さんにしか分からないことですが、腕を掴む力が少しずつ強くなります。

 

言われるがまま車に乗せられ、見知らぬ病院に連れて来られる。私はおろか、A さんもこのような体験をしたことはなかったのではないでしょうか。

 

「これは一体どういうことだ!?根拠ある説明を求める!」いつものA さんなら間違いなくそう言っていたはずです。

 

どんどん奥に進んでいき、厳重な2重扉の先にある「観察室」と書かれた部屋の前で止められます。

 

重そうな鉄の扉に電子錠がついており、そこもまた2重扉のようです。小窓のむこうには6畳程の無機質な白壁の部屋にベッドとトイレだけが置かれているのが見えました。

 

Aさんだけが一旦別室に行くことになり、その時点で奥さんを残して私と上司は退室を命じられます。

 

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