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【第3回】仕事が生き甲斐だった元国家公務員のAさん ~認知症の進行~

time 2019/02/26

【第3回】仕事が生き甲斐だった元国家公務員のAさん ~認知症の進行~

いつからかを境に、Aさんの様子が少しずつ変化してきました。「虫が襲ってくる」「ヤクザが殺しに来る」等と話すようになり、居室に閉じこもって中から鍵を閉めたり、物を積み上げて高いところに上ろうとする等の行動が見られるようになったのです。

 

秘書に対してはそれほどではありませんでしたが、女性職員を厳しく叱責したり、大声を出したり、日に日に不穏な状態がエスカレートしていきました。

 

意識的に普段と変わりないよう接してはいましたが、明らかにAさんの状態は変わってきていました。

 

心療内科の先生にも診てもらったところ、統合失調症や前頭葉がどうとかの説明がありました。要は認知症の悪化と精神疾患の併発であり、状態が悪い方向に進行していたのです。

 

ミーティングでAさんのケアについて話し合い、あれこれと試してみましたが状況は好転せず、服薬コントロールも併用しましたが、それも奏功しませんでした。

 

そんなある日、幸い大事には至らなかったものの、女性職員がAさんに殴られて怪我をしてしまいます。私はその現場にいなかったので当時のことは口述と記録でしか知り得ませんでしたが、彼女や他の入居者の様子を見る限り、それなりに壮絶な状況だったことを察することができました。

 

大事には至らないと言っても怪我人が出てしまったので、奥さん・心療内科の先生・上司を交えて緊急に話し合いの場が設けられました。

 

その最中にもAさんは大声をあげながら玄関のドアを叩き続けており、奥さんはその姿を見て号泣してしまいました。

 

結果、精神病院への緊急入院となりました。しかしこのままでは搬送もままならないので、まずは興奮を抑えましょうと臨時の薬が処方されます。後に調べたところ、強力な精神安定剤でした。

 

殴られた女性スタッフを含め、皆がAさんに怯え切っている状況のため、秘書の私が服薬介助をすることになりました。

 

Aさんは毎朝血圧と糖尿病の薬を飲んでおり、どちらかと言えば好んで服薬するタイプでした。しかし今回だけは少し事情が異なります。緊張感と罪悪感の入り混じった感情の中、「まずは落ち着いて血圧の薬を飲みましょう」と声をかけます。何かブツブツ言いながらも、拒否なく薬を口に運びました。

 

10分程経つと興奮が収まった、というか「落ちた」ようで、ふらふらとした足取りでリビングの椅子に向かい、そこに座ってぼんやりし始めました。

 

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