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【第1回】仕事が生き甲斐だった元国家公務員のAさん ~初めてのグループホームとAさん~

time 2019/02/24

【第1回】仕事が生き甲斐だった元国家公務員のAさん ~初めてのグループホームとAさん~

私は特別養護老人ホーム(特養)で介護職員として勤めていましたが、職員主導の集団ケアに疑問を感じていました。ちょうど3年目を迎える頃、個別ケアを重視し、少人数・家庭的な環境の中で認知症の高齢者が共同生活を送るグループホームが注目され始めました。転機が訪れたとばかりに特養を退職し、とあるグループホームの面接を受けました。前職の経験も評価され、晴れてグループホーム介護職員としての就職が叶いました。

 

そこでは「朝の会」があり、朝食後リビングに皆が集まって挨拶を交わし、日付の読み上げ・スタッフからの一言の後、ラジオ体操で1日をスタートさせる習慣がありました。その場で初日の挨拶をすることになったのですが、その中に一際異彩を放つ入居者がいました。

 

バーコード風にカモフラージュされたハゲ頭に大きな黒縁メガネ、中肉中背・意味の分からない英語の書かれた上下スウェットに便所サンダルの男性、それがAさんです。

 

緊張しながら挨拶する私に皆が温かい言葉をかけて下さる中、彼だけが「ここの部署は厳しいぞ!清濁併せ飲む覚悟で職務にあたるように!」と激励モードなのです。

 

Aさんは元国家公務員で、社会保険関係の部署でそれなりの役職に就いていました。定年退職後も同部署のアドバイザー的な立場で仕事に打ち込んでいましたが、引退してから一気に生活にハリがなくなり、不可解な言動が目立つようになりました。

 

奥さんの付き添いで受診したところ認知症との診断を受け、グループホームに入居したという経緯です。男性が退職後に認知症になるという定番パターンと言えるかもしれません。

 

そんな見た目と少々スケベな性格もあって女性スタッフからの評判はあまり良くありませんでしたが、フロアのムードメーカ的な存在で、何だかんだ言われながらも皆から好かれていました。

 

Aさんは身体は非常に元気でしたが、自身の置かれた状況や時間の理解等に問題がありました。昼夜を問わず「寝坊した!早く庁に送ってくれ!」「会議の資料はできているか?」「あの問題は解決できそうか?」等、Aさんの中でAさんは未だに国家公務員で、フロアは庁職員が集団生活を送る寮だったのです。

 

記憶も不十分で誤認も多いですが、何となく人物やフロアの配置等の感覚は残っている状態で、どういうわけか私はNさんをサポートする新入りの秘書という認識をされていました。

 

「Aさんはとっくに定年退職しています!ここはグループホームです!」とある意味マジメに対応するスタッフがいる中、私はAさんの秘書として徹することにしました。

 

誠意を持って本当のことを伝えるのが正しい介護であるとの主張もある中、それに逆行するやり方でしたが、何となくそれがAさんへの対応として適切だったような気がしたのです。

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