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介護事例連載【第2回】このままで良いHさん ~地域ケア会議~

time 2019/05/05

介護事例連載【第2回】このままで良いHさん ~地域ケア会議~

Aさん以外に市役所の担当、警察関係者、町会長、Hさんの近所に住む女性が参加していました。大層な名札の置かれた席に着き、会議が始まります。机にはHさんの情報と今までの経緯等、ホワイトボードには本人の顔写真が貼られていました。刑事ドラマで事件の概要や容疑者の特徴を説明するシーンを彷彿とさせる場です。

 

冒頭の状況説明は概ね最初にAさんから電話で聞いた通りで、特に新しい情報はありませんでした。耳だけ傾けて話を聞いていましたが、私はホワイトボードに貼られたHさんの写真が気になって仕方ありませんでした。ボサボサの白髪頭に浅黒い肌、薄汚いTシャツ。外をウロウロしている間に日焼けし、風呂にも入っていないのでこのようになったのでしょうか。言い方は悪いですが、写真からも臭気が漂ってきそうな風貌でした。

 

各関係者が順番に意見を述べていきます。おおよそ「保護して適切なケアを提供しなければならない」「それぞれが連携して見守って行かなければならない」というありきたりな答えばかりで、近所の女性に至っては「あの人がウロウロすることで、近所に住んでいる人が皆あんな風な人だと思われてしまう」という根も葉もない話でした。

 

その後も前に進まない薄っぺらい建前論と近所の女性の的外れな意見が続きましたが、話を掘り下げれば掘り下げるほど他者への実害がなく、単なる生活行動と見た目、臭いの問題だけではないのか思ってしまう話でした。

 

最終的には私の事業所が適任で、そこで対応するのがベストであるという結論に持って行こうとする空気感が透けて見えました。

 

最初から結論ありきの会議であったことは薄々感じていたので、場を読んで「うちの事業所で対応を試みるので、皆さんにも協力をお願いしたいと思います」とシナリオ通りに話を進めました。もちろん、白々しい「本当ですか?!」みたいなオーディエンスの反応も織り込み済みです。

 

議場の英雄になったその時、ずっとHさんの写真が気になっていた理由にふと気付きました。今回私が今回受け持つことになったのは、通勤中にたまに見かける、コンビニの横でゴミ箱漁りをしているお婆さんだった。

 

まさか自分の担当になるとは思ってもいませんでしたが、皆の前で請け負った以上、やるしかありません。Aさんは「さすが〇〇さん!頼もしい~!」と甘えた声を出していましたが、毎度のことなので適当に聞き流し、追加情報の準備を依頼してその日の地域ケア会議は終了となりました。

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