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保育事例連載【第7回】家庭環境と障害と保育~N君との繋がり〜

time 2019/05/26

保育事例連載【第7回】家庭環境と障害と保育~N君との繋がり〜

私は、N君が、心を開いてくれるのを待ちました。ある日N君に、「お家ではN君のお母さんがお母さんだけど、保育園では、私がN君のお母さんに変身するからね」と伝えました。N君は「ふーん」と一言答えただけでしたが、とにかくたくさんスキンシップをとりました。

 

「N君大好き」とたくさん抱きしめてあげたり、みんながお昼寝の時間は、膝の上に座らせて絵本を何冊も読んであげました。大好きな虫の話もたくさんしました。すると時々、笑顔も見られ、「先生大好き」と言ってくれるようになったのです。そして自分から私に抱っこして!と来るようになりました。言葉で伝える事が何より大事なんだと気付きました。

 

N君と出会い、1年でようやく信頼関係が築けました。N君と接するうちに、N君は人一倍、気を遣う神経質な子だと分かりました。園では、お友達とトラブルばかりで、相変わらず乱暴な言葉をつかうこともありますが、母親の前だと、面接の時のように、お利口なN君になりました。N君なりに母親に気を遣っていたのでしょう。そうやってN君はストレスを発散していたのかもしれません。N君は、人の顔色をよくうかがい、大人の話をよく聞いています。家庭環境がそうしたのかもしれませんが、辛い経験をした事には変わりはありません。N君が、母親を人一倍大事にしているのが、すごく分かりました。その分、保育園では大事に大事に、N君に接してあげようと心に決めて、保育しました。

 

N君が卒園する少し前に、母親から、アスペルガー症候群だったと話がありました。母親は、自分の子が少し普通の子と違うのではないかと感じていたと、私に話をしてくれました。受診からだいぶ経っていましたが、診断結果を言えなかったN君のお母さんの気持ちが、痛いほど伝わりました。その時は一緒に泣きました。N君と過ごしたのは2年間でしたが、1番印象に残っています。

 

N君が卒園する日。可愛い便箋に私の顔を描いてきてくれました。母親と便箋を買いに行って選んでくれたそうです。まだ字が書けなかったので、母親の字で、“先生は保育園のお母さん ありがとうお母さん”と書いてありました。その時、自分が保育士になって良かったと思えた瞬間でした。

 

N君は、小学生になったら、精神を落ち着かせるための薬を飲むように言われたそうです。卒園してから1度も会っていませんが、今はもう中学生になっています。N君の弟も、アスペルガー症候群だと診断されたそうです。

 

そんなN君から、卒園後、毎年年賀状が届きます。最初は平仮名だけだった字が、とても立派な文章になっていました。あの頃の面影を残しながら、すごく身長が高い男の子になりました。今は、年賀状が届くたびに、N君のあの日の絵とメッセージを思い出すのでした。

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