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保育事例連載【第5回】家庭環境と障害と保育~N君の園生活と家庭の姿〜

time 2019/05/25

保育事例連載【第5回】家庭環境と障害と保育~N君の園生活と家庭の姿〜

母の日のプレゼント製作が終わった頃、N君の表情が今までと全然違っていることに、気が付きました。周りを鋭い目つきで睨み、ポケットに手を入れてウロウロしていたN君の目つきが、穏やかになったのです。お友達とのトラブルは、相変わらず多いものの、殴ったり、蹴ったりすることも減りました。日によっては、朝から機嫌が悪く奇声を発して暴れることがありましたが、以前に比べると、良くなっていました。

 

そんなある日、迎えに来た母親に、園での成長した姿をお伝えし、家庭での姿を聞いてみました。なんとなく今まで自分の中で、N君の家庭での事は聞き出せないでいました。ですが、これからN君がもっと楽しく園生活を送るには、どうしてあげたら良いのか、もっとN君の事を詳しく知りたいと思い、聞いてみることにしたのです。

 

入園当初のN君の姿や、お友達となかなか一緒に遊べないけれど、クラスで飼っている生き物を通して、お友達と話をすることができるようになった事。手がよく出て、お友達とトラブルが多かったけれど、少なくなってきた事。もう少し頑張りたい事として、好き嫌いが多く、給食を残す事を伝えました。気になる事は、乱暴な言葉遣いが多く、お友達も困らせてしまう事を伝えました。

 

母親は「申し訳ありません」と何度も謝りました。家庭では、自分が家事や育児でバタバタしていて、N君は常にテレビを見ているとの事でした。3人家族になり周りに自分の両親が近くにいるが、頼れず、一人で何でもこなしているようでした。N君は、そんな母親の姿を見て、弟にご飯をあげるのを毎日お手伝いしてあげているそうです。全ての家事が終わる頃には、深夜になっていて、それまでN君は、ドラマを見たりおもちゃで遊んだりしているとのことでした。

 

確かに園でよくドラマの話をしていました。ドラマが好きで、話す時は、すごく生き生きしていました。それではいけないな…と思いつつも母親の大変さを知り、伝えられませんでした。

 

そして、その時はじめて、離婚の原因が、父親の暴力だという事を知りました。N君の乱暴な言葉遣いや目つき…私は、今までのN君の姿を思い出し、パズルがピッタリ合ったような感覚になりました。

 

その時、私は何も言えず、母親に「あまり無理しないでください。何かあればすぐご連絡ください」とだけ伝えました。N君は、自分を強く見せるために、そのような姿をつくっていたのかもしれません。そして母親も、そんなN君を立派に育てなければいけないという使命感で、常にN君に注意したりしたのかもしれません。

 

N君と母親に、私が出来る事は何なのか考えるのに、しばらく時間がかかりました。

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