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保育事例連載【第4回】家庭環境と障害と保育~N君の優しさ〜

time 2019/05/24

保育事例連載【第4回】家庭環境と障害と保育~N君の優しさ〜

N君の事で、印象に残っているのが、母の日のプレゼント製作の日の事です。クラスで、今日は母の日のプレゼントを作る事を伝えました。なぜお母さんにプレゼントをあげるのか子ども達にも質問しました。いつもなら、「めんどくせー」と言っていなくなるN君ですが、その日は、じっと何か考えている様子で座って、話を聞いていました。クレヨンでお母さんの顔を描いた後、絵の具で色を染める作業と、カーネーションを折り紙で折る作業がありました。時間がかかる作業だったので、2日間の時間を使って、作業をしました。N君は、その日落ち着いていたので、今までのように1対1ではなく、みんなと一緒にやってみることにしました。

 

いつも黒やグレーを選ぶN君が、最初に選んだのは、緑でした。「緑が好きだってお母さんが言ってたんだ」と言い、全部緑のクレヨンで描いていました。紙の中心に、大きく描いたお母さんの顔。大きな口でニコニコ笑っている顔でした。

 

そして隣に小さい顔の2人。すぐに、N君と弟の顔だと分かりました。「ニコニコ可愛いお顔が描けたね」と言うと、「お母さんの近くにいつも僕がいて守ってあげなきゃいけないんだ!僕は男だから!」とはっきりした口調でN君は言いました。

 

私が、「N君かっこいいね!お母さん喜ぶね」と言うと、「僕のお父さんはお母さんをいつも泣かせてたから嫌いなんだ。もう会えないけど」と一瞬曇った表情になったN君の一言が、胸に突き刺さりました。私は何も言ってあげられませんでした。N君の過去を何も知らなかったからです。N君の心の中にいる父親の存在。それと葛藤するN君。離婚したのが、物心がついていた時だったので、余計に辛い思いをしたのだと自分の心の中で、一つ一つ整理しながら考えました。

 

N君が描いた家族の顔。いつもなら、黒く塗り潰してしまう絵ですが、はじめて最後まで描けた絵になりました。

 

母の日のお迎えの時間、母親が迎えに来るのを玄関で待っていたN君。待ちきれなかったのでしょう。母親に「お母さんの顔!僕が描いた!」と照れくさそうに渡したN君を、母親は涙を流して抱きしめていました。

 

母親は私に「今まで家でもお絵描きをしている所を見たことがないんです。もちろん私の顔を描いてくれたこともありません。はじめてです。ありがとうございました」と深々と頭を下げてくださいました。私は、N君が言っていた、“男の子だから僕がお母さんを守ってあげるんだ”という言葉を伝えました。私は、「N君は、すごく優しいお母さん想いのお子さんですね」と声をかけると、母親は嬉しそうに微笑んで、N君を抱っこし、「ありがとう」と声をかけていました。

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