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介護事例連載【第7回】Fさんの娘との闘い ~受容と諦め~

time 2019/04/30

介護事例連載【第7回】Fさんの娘との闘い ~受容と諦め~

数日後、「心のこもった贈り物をありがとうございした。母の様子がよく伝わりました。◯日◯時、お話のお時間を頂けますでしょうか」とのメールが入りました。怒っているのか喜んでいるのか、文面からは気持ちが読めずに不安がよぎりましたが、何らかの揺さぶりになったのは間違いないようです。私はアポを快諾し、面談となりました。

 

開口一番、「私は間違っていたんでしょうか」と娘さん。いつもとは違う表情、トーンに動揺してしまいましたが、効果てきめんだったようです。本人を思う気持ちは十分に分かるが、私たちとは考えの方向性が違っていた。直接そうとは言えませんでしたが、それらしいことを伝えました。

 

動画を観て何かを感じたのか、あれこれ他に情報収集したのか、理由は分かりません。ただ、その日を境に娘さんの態度や言動が180度変わったのです。

 

Fさんの件を皮切りに、その後は入居者、ご家族、スタッフが一丸となって最高のフロアを作り出しました。私は再び異動となり、以降のことは伝え聞く程度になりましたが、ドキュメント編集に奔走したスタッフが陣頭指揮を執り、流れを引き継いでくれたようです。

 

これらは私が改革を成し遂げ、曲者の家族をやっつけたヒーローだという類の話ではありません。実際にはもっとギスギスした衝突や恥ずかしいミスもありましたし、単に責任者として実績を残したいという思いが強かっただけかもしれません。結果的にそれが達成されたから語り草になっているに過ぎないのです。

 

介護と言えば身の回りの世話をすることがメインと思われがちですが、究極には家族のフォローも含まれるのかもしれません。

 

親御さん等が認知症になった場合、病気だから、歳をとったんだから仕方ないと本人の状況を受け入れられる方は多くいらっしゃいます。一方、Fさんの娘さんのように、本人の年齢や今までの関係性等の要素により、何としてでもそれに抗おうとする方がいるのも事実です。

 

受容と諦め。どちらも現状に留まるという風な意味合いがありますが、両者には明らかなスタンスの違いがあります。介護においては「諦めたわけではないが、ある程度のことは受け入れる」という、絶妙のスタンスが大切なのかもしれません。

 

あれこれと業務やルールに縛られるのは、入居者に家庭的な環境でゆっくりと生活を送ってもらうという趣旨に反します。一方、事業である以上は適切な管理が求められます。ダブルバインドの中、世間で知られる人手不足なども発生し、問題がより複雑化します。最良の落とし所を探し出し、これまた絶妙のバランスで処理していかなければならないのです。

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