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介護事例連載【第3回】Fさんの娘との闘い ~すれ違い~

time 2019/04/30

介護事例連載【第3回】Fさんの娘との闘い ~すれ違い~

確かに、グループホームには共同生活を通じて認知症状の安定や緩和が期待されています。しかし、娘さんは「認知症が治る」ことを求めていました。

 

グループホームでの手厚いケアにより、認知症状が良くなったという事例は多々ありますが、入居者全員が必ずそうなるとは限らないのが現実です。医療の側面においても、尖った研究をしている先生方の意見はさておき、認知症は治療というよりは進行の防止や現状維持が見込める可能性があるというのが一般的な見解なのです。

 

そういう意味で、娘さんとは根本的な立ち位置が違うため、一向に良くならないという不満を抱えている様子でした。その苛立ちを私たちにぶつける状態で、スタッフは関わりを避けており、全て私が対処せざるを得ませんでした。

 

娘さんは認知症についてとにかく勉強しまくっている様子でしたが、本当に学ぶべき基礎的かつ重要な知識よりも、マニアックで怪しい論文、週刊誌や通販の宣伝レベルの怪しい情報等、自分にとって都合の良い情報だけをピックアップし、それに踊らされていました。完全な情報過多です。

 

インターネットや口コミ等で評判の良い医師の情報を仕入れると、その都度Fさんを所に連れ出します。先生の態度が悪かった、母のことを真剣に考えていない、薬が効いていない等、主治医を転々とし続けました。

 

風邪や骨折等とは異なり、認知症は明確に治癒したという成果が見えにくいと言えます。しかし、娘さんの主眼はあくまでも「治る、治らない」でしたので、瞬く間にそれを良くしてくれる医師がいるのなら、私達が教えてほしいぐらいです。

 

結局、異常に高額で怪しげなサプリメントの多量摂取を勧める医師に落ち着き、一般的な治療薬も含めて毎食後15~20錠もの錠剤を服用することになりました。

 

Fさんは服薬の度に苦痛に顔を歪めていました。嚥下(飲食物を飲みこむこと)に問題はなかったものの、私たちでも毎食後にそれが慣例となると、条件反射的に食事が嫌になってしまうことでしょう。案の定、Fさんは、服薬はおろか、悲しそうな表情で食事時間を過ごすようになりました。

 

娘さんに状況を報告したところ、非常に不服そうで、それを何とかするのがプロの仕事ではないのかと食い下がってくる始末です。

 

「辛いとは思うが、本人の現状も含めて受け入れ、共に歩んでいくのが本当の意味での思いやりではないのか。お前たちがやっているのは単なるエゴで、今のお母さんは本当のお母さんではないと言っているのと同じだ。」

 

何度そう言いたい衝動に駆られたか分かりません。しかし、それを言ったところで通じないでしょうし、余計に信頼関係が破綻するだろうと感じ、ぐっと我慢しました。

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