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【試験対策】知っておきたい、イギリスの社会保障制度の発展における歴史的背景 救貧法(1531年法)に至るまで

【試験対策】知っておきたい、イギリスの社会保障制度の発展における歴史的背景 救貧法(1531年法)に至るまで

社会福祉士の試験において、制度を問われる問題が多数出題されます。しかし、年号と制度の内容だけを覚えるのはとても大変です。史的背景を把握しておくことで、なぜその制度が必要となったのか、どのように内容が変化したのかも理解しやすくなります。今回はイギリスの救貧法(1531年制定)までの歴史をできる限りわかりやすく記載します。

 

救貧法以前の救貧

救貧法以前の救貧は教会の役割とされており、修道院やギルドにおいて救貧活動が行われておりました。また、キリスト教において、貧しい人へ救いの手を差し伸べることは善行とされていたため、富める者は積極的に救貧活動を行い、それを誇りに思っていました。

 

貧困観を変化させた宗教改革

しかし大きく変化したのが宗教改革でした。大流行した免罪符販売などの宗教腐敗に対して、ドイツのマルティン・ルター、スイスではジャン・カルヴァンが立ち上がりそれを批判しました。

 

ルターは救いは善行によって得られるということを否定して、信仰によってのみ救われるとしました。また、ルターは、労働を推奨し、それが出来ない者は病気等で働けない者と怠け者を峻別して救済するように提唱しました。

マルティン・ルターは1520年に発表した『ドイツ貴族に与える書』で「怠惰と貪欲は許されざる罪」であり、怠惰の原因として物乞いを排斥し、労働を「神聖な義務である」と書き、都市が責任を持って『真の貧民』と『無頼の徒』を峻別して救済にあたる監督官をおくことを提唱しました。救貧法wikipediaより引用

 

カルヴァンは予定説を提唱し、初めから天国に行くか地獄に行くか決まっているので、信仰をするかとか、善行を積むといったことは関係ないと訴えます。また、カルヴァンはお金を貯めることを推奨しました。職業とは神から与えられた天職であり、お金を貯めることはそれを全うして、神への服従を示すことになるとしました。そのため、カルヴァンにおいてもルター同様に無原則な救済を批判しました。

カルヴァンは『キリスト教綱要』でパウロの「働きたくない者は食べてはならない(新約聖書「テサロニケの信徒への手紙二」3章10節)」という句を支持し、無原則な救貧活動を批判します。救貧法wikipediaより引用

 

これは大変なことでした。宗教革命によって貧しいことへの見方が変わったのです。貧しいことは怠惰であることの結果であり、神から見放されている証拠とされました。今まで行っていた慈愛に基づく善行は怠惰を助長するとして批判されました。

 

⇒救貧法において、なぜ救貧の対象を区別するのか、という考えのもとになりますので、覚えておくと制度の理解が進みます。

 

失業者を増やしたイギリスにおける囲い込み

その時代に需要が大きくなっていた毛織物を効率的に作るたため、富農層が、小作人から畑などの農地を取り上げ、羊を飼うための牧場に転換しました(囲い込み)。そのため、小作人は職を失ってしまいました。トマス・モアはそのような状況に対して、「羊が人間を喰い殺している」と批判しました。この囲い込みによって、職を失った人々が都市部へ流れ込み、この人口増加が貧困層を生み出す一因となりました。

 

その他にも、職を求めて農村部から都市部へ人が流れ込みますが、不況であったこともあり仕事がなく浮浪者となってしまうことも少なくありませんでした。

 

そして、人口増加した都市部では浮浪者が溢れ、生活するために盗みを働く者や暴動を起す者などがおり、治安維持が大きな問題となりました。

 

イギリスの社会保障制度の発展における歴史的背景 1531年法からエリザベス救貧法に至るまでへ続く

 

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