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【第3回】温かい雰囲気の中で死を迎えることを選んだYさん~Yさんの変化~

「特養への入所はご家族の希望ですか?口から食べることは全くできていないんですよね?」I相談員へそう訊ねると、「実は、まだ正式な入所希望というわけではないんだ。でも、病院で最期を迎えることに気が進まないらしい。本当はケアハウスに戻りたいけれどそれは難しいから特養を考えているという話で、でも施設で対応できる点滴の方法を話したら迷い始めてしまったようだ。」との返答でした。

 

 ケアハウスと特養の大きな違いは、ターミナルケア(終末期ケア)を行うかどうかという点です。うちのケアハウスでは「看取り」と呼ばれる終末期ケアを行っておらず、特養ではそれを可能としていました。現状、Yさんのようにいつ死が訪れてもおかしくないような状態ではケアハウスへ戻ることはできず、退去するしかないのです。

 

ケアハウスに同期がいたため、Yさんの話を聞いてみることにしました。入院前はどんな状態だったのか?と聞くと、「食事量は徐々に減っていて、なんとなく昼間でも部屋で寝ている時間が長くなっていた。以前はいろんなところへ散歩していたが、それも全くなくなっていた。歩行はなんとかできていたが、ある日部屋の中で転んでしまい足を骨折してしまった。そのため入院となり、そこでいろいろと検査をした結果ガンが見つかった。」という話を聞くことができました。もう骨折は治癒しているが、2か月ほどベッド上での生活だったため今は歩行できないらしいということでした。

 

 「特養によく来ていた頃のYさんは知っているんだけど、最近は認知状態とかはどうだったの?」と聞くと、「そんなに大きくは変わらなかったよ。意思疎通は図れるし、前のように道や日付などがわからなくなることはあったけどね。でも入院してからは会っていないから、認知状態も変化しているかもね。」と教えてくれました。

 

 しばらく見ない間に随分状態が変わっていたんだな…。と、少し寂しい気持ちになりました。

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