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ラウントリー ヨーク市調査を行ったチョコレート会社の御曹司

社会福祉士の試験においてブースとラウントリーは頻出人物です。どちらもイギリスの貧困調査を行なったということで、時系列や調査対象とした都市、調査による結果を混同しがちです。まずはしっかりと名前を覚えることから始めましょう。

 ■人名、出身国、生没年

ベンジャミン・シーボーム・ラウントリー イギリス 1871ー1954年

 

■実績

チャールズ・ブースが行ったロンドン調査に影響を受け、その36年後である1899年にヨーク市に在住していた約75,000人の労働者全員を対象に、私財を投じて生活調査を行い、1901年に「貧困ー都市生活の研究」として発表しました。ラウントリーは、その中でブースが定義した生活するために必要最低限の支出額や所得額である貧困線を栄養学や生理学などの科学的な面からより明確に定義し、のちの生活保護の基準にも大きな影響を与えました。

 

ポイント

ブースとラウントリーは同じイギリス出身で貧困調査を行ったため混同しがちです。ブースとラウントリーの大きな違いは客観性にあります。ブースの調査はある批判を受けました。それは、貧困基準の設定です。ブースは週給で貧困基準を設定していたため、その基準が次第で貧困の割合を変えられてしまう、客観性に欠けるという点でした。

 

それに対して、ラウントリーは栄養学を用いてその批判を乗り越えました。最低限とされる救貧院の食事を参考に、そこから得られる栄養摂取量を得るために必要な費用を算出して基準として用いました。

 

■人柄

 彼の父であるジョセフ・ラウントリーは数百人の社員を抱える食品会社を経営していたが、当時の経営者の多くが従業員を道具としたのとは異なり、人格を持った存在として扱うことを考え、労働環境の改善などに力を注いだ。この父の労働者に対する理念がラウントリーが行った貧困調査にも反映されていると言えます。

 

■エピソード

 チャールズ・ブースが莫大な私費を投じて行ったロンドン市内の貧困調査に影響を受けたベンジャミン・シーボーム・ラウントリーは、1899年に個人でヨーク市に住む約7万5千人の労働者全員に対して貧困調査を行った。

 

ラウントリーは、カレッジを卒業したのちに父であるジョセフ・ラウントリーが経営していたチョコレート会社の重役として会社経営に携わっていたが、経営を行いながらも社会学の研究にも没頭し、父の経営者としての人格を持つ存在としての従業員に対する理念を元にヨーク市の市民の生活状況の調査を行ったのである。

 

ラウントリーが行った生活調査では、ブースが行った調査に加えて食品会社を経営していることで得た栄養学や食品に関する知識を入れることで、より科学的客観的に貧困線を定義づけ、「第一次貧困(収入が肉体的能率を維持するに足りない家庭)」と「第二次貧困(全所得を食費にまわす限り肉体的能率を維持するに足る家庭:ギリギリ肉体的維持を行える家庭)」を設定し、第一次貧 困が 10%、第二次貧困が 18%に達していることを発見しました。その後のイギリスの社会制度の理念となったベヴァレッジレポートに影響を与えることになりました。

 

 

 

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