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【第2回】介護職員だけが気付いた変化 ~なんとなくいつもと違う~

time 2018/07/31

【第2回】介護職員だけが気付いた変化 ~なんとなくいつもと違う~

Hさんは、手先も器用でした。施設内で月に1度行われる紙粘土クラブという活動があり、Hさんは毎月参加していました。そのクラブでは季節に合わせた作品を作っており、七夕には織姫と彦星、十五夜にはうさぎとお団子というように、可愛い作品がHさんの部屋には沢山並んでいました。

 

記憶障害があるため、事前に伝えてもHさんはクラブの日を忘れてしまいます。そのため、Hさんにはいつも当日に声をかけていました。「Hさん、今日は紙粘土の日ですよ。」そう声をかけると、「あら、今日は何を作るのかしら。」と微笑み、いつも嬉しそうに広間へ向かっていきます。

 

そして、自分の作った作品であることはきちんと覚えていて、ご家族の方やお客さんが来る度に、Hさんは部屋の中に並ぶ作品を鼻高々にお披露目していました。一人で部屋にいるときに、慈しむように眺めていることもよくあります。Hさんは認知症を患っていましたが、不穏になることもほとんどなく、日々穏やかに過ごしていました。

 

そんなHさんに変化が見られたのは私が入職してから2年ほどが経った頃で、本当に突然のことでした。そしてそれは、とても小さな変化でした。

 

気付いたのは、私と同じくHさんの住むユニットを担当する男性職員でした。彼は新卒でその年に入職してきた新人で、私の後輩にあたる川野君という職員でした。男性にしてはとても細かいところまで気付く、優しい人でした。彼が早番で私が遅番だったため、私はその日出勤後すぐに彼から午前中の申し送りを受けることになりました。

 

「Hさんが、なんだかちょっと違うんです。」彼から最初に出たのは、そんな言葉でした。「違うって、何が?どんなふうに?」私がそう聞くと、彼は困ったように頭を掻きました。「なんていうのか、目がいつもと違うなって。」

 

「目?目がどんなふうに?」更に聞きましたが、明確な答えは彼から返ってきませんでした。「上手く言えないんですけど、なんか目つきがいつもと違うような気がして。表情が違うというか。最初は具合が悪いのかな?って、なんとなくいつもと違うなと思ったんですけど、声をかけてもいつものように返事をしてくれるし、気のせいかな?という気もして…。」彼は自信なさそうにそう言いながら、Hさんに視線を移しました。

 

彼の言うことは曖昧で、わかったようなわからないような感覚でした。利用者さんの具合が悪かったり様子が違う場合には看護師や介護主任に報告をすることになっていますが、彼は自分の感じたHさんの変化がとても些細で上手く人に伝えられないものだったため、まだ報告をしていないと言いました。

 

【第1回】介護職員だけが気付いた変化 ~おしゃれなHさん~

 

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