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【第5回】注文の多い利用者Dさんと仕事のできる介護職員のXさん ~真相究明~

time 2019/04/02

【第5回】注文の多い利用者Dさんと仕事のできる介護職員のXさん ~真相究明~

数日後、Xさんが大袈裟な菓子折りを持って、神妙な面持ちで出勤してきました。大好きなお祖母さんが亡くなったことや皆に迷惑をかけてしまったこと等、感情を込めて朝礼で話しました。課長はいつになく緊張した面持ちでした。

 

担務は事前に決まっており、Xさんもメンバーに入っていたのですが、課長が「Xさんは今日はフリー、その分は他のスタッフでフォローして下さい」と指示を出しました。事情を知らないスタッフは、感傷中を察しての配慮だろうが、困ったなあといった表情でした。

 

朝礼後すぐに課長とXさんが応接室に消えていきました。ドアに「対応中」の札がかかります。途中、施設長等のお偉い様方も入って行き、そのまま出てきません。

 

朝礼後に入室し、皆が出てきたのが昼食前でしたので、濃密な話し合いだったのでしょう。時間的なものは勿論、それなりの内容だったのか、各々が何とも言えない表情で応接室から出てきました。Xさんはその日も早退し、以降の担務から外れていました。

 

その次の日、緊急会議の招集がかかりました。夜勤明け、休みのスタッフを含めて全員出席するようにと、かなり強制力のある招集でした。冒頭で施設長から招集趣旨の話があったのですが、何を言いたいのかよく分からず、耐え兼ねた課長が口を開きました。「特養で虐待がありました。今日はその報告と対応策の検討です」

 

そもそも課長以外は誰も話しておらず、これ以上静かになりようがない状況でしたが、より深く静かになり、緊張感が走った気がしました。課長の口から、真実が語られます。

 

Dさんを拘束したのはXさん。事件当日、Xさんはある程度の目途がついた時点でDさんを解放しようと思っていたが、お祖母さんが危篤との連絡が入り、肝心の「仕事」を忘れ、慌てて早退してしまった。

 

続発していた事故の多くはXさんの手によるもの。不自然なアザは争ったか或いは拘束の最中にできたもの。ベッドからの転落は意図的なもので、下に寝かしておけば動いて転落することもないし、自分で立ち上がることはできないだろうとの考え。夜勤明けの妙な仕事の早さ、秘訣は諸々の拘束にあったのです。

 

報告のほとんどがXさんによるものでしたが、上層部は「Xさんは今まで出てこなかった些細な事故でも報告書を提出しており、気付きがあるのではないか」と評価していましたが、何とも浅はかな考えだったと反省している。

 

事故から報告までの一連の流れはDさんの自作自演だった。手のかかる入居者が動かなければ仕事が早くできるし、こまめに報告を上げれば評価も上がるのではないかと期待していた。

 

あまりにもリアルな報告に、隣席のスタッフが唾を飲み込む音が聞こえます。途中、施設長が課長に「もういいんじゃないか」と言わんばかりに目配せをしましたが、課長は淡々と最期まで話し終えました。

 

「Xさんは退職となった。心機一転、再びスタッフが一丸となってやり直してほしい」と会議が締めくくられました。

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